2007年9月 1日 (土)

靖国カルト議員と御用評論家たちによる恥晒し

[遠メガネで見た時代の曲がり角] 連載第10回です。今回は「靖国カルト議員」を取り上げています。

『財界にっぽん』2007年9月号

[遠メガネで見た時代の曲がり角] 連載第10回



靖国カルト議員と御用評論家たちによる恥晒し

藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト)在米



トンチンカンだった日米首脳会談の置きミヤゲ

 日本政府の戦争責任への自覚の無さのせいで、米国下院の外交委員会が慰安婦問題を取り上げて、日本政府に対して非難する決議を行った。自民党政府のアカウンタビリティの低さに対して、世界が嘲笑した事実をメディアが報道しないので、国民はその深刻さに気がついていないでいる。

 慰安婦問題へのお粗末な対応のクライマックスは、6月14日付けの「ワシントン・ポスト」の全面を買い取り、「FACT」と題した意見広告を出したことで、日本人は世界中から物笑いになったのだが、広告の下に大量の国会議員が名前を連ねていた。宣伝用の太鼓の叩き役を演じたのは、怨念の気分に取り付かれた国粋主義者たちだが、恥も外聞もかなぐり捨てた広告に対し、米国政府や両院の議員たちが眉をしかめた。

 親友のアメリカ入記者からさっそく電話がかかり、意見広告を見たかというから「ノー」と答えたら、見ない方が精神衛生に良いとからかわれた。アジア・ウォッチャーの彼の情報には興味深いものが多く、安倍の訪米で慰安婦問題の手回しをした時に、「安倍首相は謝罪したわけではなく、謝る気持ちがあると言っただけなのに、慰安婦でもないブッシュが謝罪を受け入れると答えたのは、トンチンカン(off base)な日米首脳会談見本だった。だから、皆が悪いジョークだと呆れている」と教えてくれた。

 戦争責任という大きな政治問題全体の中で、慰安婦問題は部分的で小さな事柄だと思う私は、そんな枝葉のことに関心が無かったが、親友に言われて仕方なく「ワシントン・ポスト」を買い広告ページを開いて驚いた。恥の上塗りに等しい主観的な自己主張の羅列は、何もいわない方が未だマシというお粗末さで、理論構成の幼稚なことは保育園児の水準の代物なのに、国会議員が40人も同意者として名を連ねていた。

 「事実」と題した大きな活字の見出しの下には、二枚の写真入りで五つの「事実」という項目が並ぶが、こんな程度のものを証拠として法廷に出せば、完全に敗訴で終わる程度のお粗末な内容だから、米国入が「厚顔無恥だ」と反発したのは当然だ。

 第一の事実と称すものは、陸軍のメモ2197号のコピーであり、日付の1938年3月4日だけが事実だと分かる程度で、反論として役に立たないゴミ情報だ。

 第二の事実と称すものはハングル文字の新聞コピーで、発音からすると東亜日報(Dong-A Ilbo)で!939年8月研日号だが、こんなもので反証できると思う幼稚さは、FTに「凡庸な失敗演説だ」と決め付けられた、安倍の施政方針演説と同じレベルである。

 第三から第五までは駄弁の羅列であり、鋭さや英知の片鱗も感じない代物だから、こんなものを読まされたワシントン子は呆れて、マッカーサーが半世紀前に日本人は12歳と評価したのに、今では退化して4歳児になったと感じたに違いない。自分が無罪だと論じるための証拠に使うものとして、客観的な証拠の提示が説得力を生む土台だが、好都合な情報の一部を示すだけなら、法廷で勝つのは不可能だと分かりきっているのに、日本流の田舎芝居をワシントンでゃったのだ。

 『小泉純一郎と日本の病理」にレポートしておいたが、米国の大学に留学したと称した安倍のロスでの経験は、南加大(UCS)に行ったというが単位ゼロであり、言葉の学校に行った程度でほとんど何も学ばず、法廷闘争の手順にも無知なレベルである。そんな青春を持つ世襲議員が首相になり、未熟なまま政治の手綱を取る危うさが、議会政治が機能していない理由でもある。背広姿で国会に出入りしていても、議論抜きで強行採決に明け暮れる日本の現状は、馬賊政治と大差が無いことが一目瞭然だ。

 だから、議案を文章批判で読み抜く訓練が欠け、陣笠議員は何が書いてあるかを理解しないまま、同意者として名前を連ねても不思議ではない。しかも、英語の文章を読んで理解する能力において、彼らがどれだけの資質を持つかは未知数だし、そんな人間でも議員として国政に関与するから、近隣諸国からも敬意を払われていないのだ。

 件のお粗末な意見広告について取り上げ、6月16日付の「朝鮮日報」は鬼の首をとった気分で、『日本の知識人の道徳水準をさらした慰安婦広告』と題して、この広告の内容を社説であげつらっている。しかも、最後の締めくくりとして「日本は首相や外務相をはじめとする不道徳な日本の政府関係者に、不道徳な国会議員、さらには知識人までが加わり、犯罪の歴史を闇に葬り去ろうとあがいている。だが彼らがそうした行動をとればとるほど、日本国民の誇りが地に墜ちるばかりだということに、もはや気づくべきだろう」と書いている。

 政治家は日本でも韓国でも不道徳な者が多いし、汚職が絶えないことはよく知られているが、この粗雑な意見広告に名前を出しているのは、靖国カルトに属す国会議員と彼らに追従して恥じない、政府ご用達の文化人たちの代表なのだ。御用文化人が知識人に属す存在ではないのに、この記者は知識人と考えているらしい。売文業者を知識人だと思い込むようでは、朝鮮半島の新聞人の見識が問われても当然で、日本の現状把握での底の浅さが露呈してしまう。

 世界の側から見て日本政府がおかしいのは、慰安婦問題を公文書のレベルだけで捉えて、官庁の資料が存在しないことを根拠に、犯罪行為が無かったと誰弁を使う手口や、責任逃れをする姿勢が卑劣だからだ。公文書以外の私文書も法的にみて証拠になるし、新聞や雑誌の記事というハードでなくても、体験者の記憶や物語としての伝聞を含め、エクリチュールと呼ばれる表現自体が、ある出来事や事件についての証言として、証拠力を持つ情報として認められている。

 意見の中身が世界の常識から逸脱していたのに、安倍一座のチンドン屋の役割を演じたのは、幼稚な理解能力を露呈した国会議員と、言論活動をメシの種にする御用文化人たちだったが、広告費のスポンサーは誰だったのだろう。

 職争責任について問われていることを思えば、慰安婦問題は氷山の一角に過ぎないのであり、戦地における暴虐行為を始めとして、戦争捕虜の虐待についての責任追及や、植民地人に対しての強制労働もあるし、日本の一般市民への犯罪行為も含まれている。これから戦争責任についての追及が広がり、それが国家の信用問題と一体化して行くはずだ。その過程で戦時中に強制労働やPOW虐待をして、悪名を高めた麻生炭鉱の御曹司の麻生太郎が、外務大臣をしている不見識に対し、批判の火の手が上がることに準備することは、重要な危機管理の一つになるはずだ。

 戦争犯罪に対しての糾弾は続いて行くが、謝罪したり賠償し続げるだけでは駄目であり、再び侵略の過ちを犯さないことが肝腎だ。そのためには安倍が進める危険な軍国主義路線を放棄して、平和的に近隣諸国と共存する上で、新しい国家の生存戦略の確立が不可欠であり、強行採決をやることにしか能がない、安倍の馬賊政治の清算が何にも増して急務である。

 平和路線の価値を再認識するためには、歴史が教える教訓から学ぶことであり、2000年代を1930年代に結び付けてはならない。

 時代錯誤の戦時体制への回帰を狙う安倍政治は、靖国カルトに支えられているのであり、その妄動を封じて亡国の悲劇を防ぐために、狂気の「安倍レジーム」からの脱却が不可欠である。

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2007年8月 8日 (水)

温家宝首相の訪日と国会で行った演説を読む

在米の国際ジャーナリスト・藤原肇氏が、『財界にっぽん』に毎月掲載している「遠メガネで見た時代の曲がり角]の最新版です。依然として首相の座に居座り続ける安倍晋三と、中国の温家宝首相との器の違いを浮き彫りにした記事です。

『財界にっぽん』2007年8月号

[遠メガネで見た時代の曲がり角] 連載第9回



温家宝首相の訪日と国会で行った演説を読む

藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト)在米



温家宝首相の国会演説の草稿

 国際感覚と理性的な判断力に欠けた小泉首相は、個人感情のおもむくまま靖国神社の参拝を繰り返し、近隣諸国を刺激する頑迷な姿勢を取った。そのために長期間にわたり中国と険悪な外交関係が続いたが、小泉首相の退場を機会に日中が歩み寄り、2007年4月に中国の首相が六年半ぶりに訪日した。

 しかも、慰安婦問題で安倍首相が軽率な発言をして、国際世論から手厳しい批判を受けていたので、出来るだけ穏便に計らう意図に基づき、日本政府は中国の首相を国会演説の主賓として遇した。温家宝の演説日程は4月12日だったので、外務省は中国側に「草稿を訪日前に見たい」と申し入れたが、「首脳会見の結果次第で内容を改める可能性がある」と言って、事前に草稿を見せるのを中国側は拒絶している。

 だが、11日にあった日中首脳会談において、安倍首相の口から「日本は台湾の独立を支持しない」という発言を得たので、会談後に中国側は佐々江アジア太平洋局長に演説草稿を渡した。やっと草を手に入れた外務省は草稿を検討して、「拉致問題について触れて欲しい」と申し入れたが、「日本側の希望は受け入れられなかったし、靖国神社問題に触れていないのに満足した」と外電は報じている。

 時事通信が配信した「検証・温家宝訪日」という記事は、「演説は温首相自らが執筆した。温首相は一文字も欠かさず、精魂を傾けて書き、日本国民に伝えたいメッセージだと語った」と見え透いた嘘を並べている。だが、外交官なら誰でも知っていることだが、首相や閣僚が外国に行って行う挨拶文を始め、演説の原稿は何人もの役人が草稿をまとめるし、欧米諸国ではスピーチライターが担当して書くものだ。

 時事の記事は伝聞調で信用度は低いが、演説草稿を首相が精魂を傾けて書いたと信じ、記者がそれに感激したのならお粗末の極みで、政治の実態についての認識が甘すぎる。補佐官や秘書が準備した草稿に手を入れて、講演者が自分の言葉にして喋るのがトップのやり方なのに、この新聞記者はそんなことも知らないのだろうか。


文献判断と解析作業の必要性

 日本人はインテリジェンスの訓練が不足していて、大部分の場合は文字面を読んで納得してしまう。だが、書かれたものの意味を読みぬくだけでなく、行間を読み取る能力が更に問われているヒに、何が書いてないかを判読する洞察力が必要だ。各国の外交機関やシンクタンクなどにおいては、その解析作業が行われているのであり、最も優れた人材がその仕事を担当しているが、日本の政治機構にはそれが欠落している。

 こうした作業プロセスを文献批判と呼んでおり、江戸時代までは仏教原典や本草学などで、厳しい訓練をする伝統が日本にもあった。だが、最近の外交官や幹部官僚には鍛えられた者が少ないし、ジャーナリストや政治家もその訓練が不足している。

 日本のこうした特殊事情を承知した上だろうが、温家宝は役人が書いた演説草稿を読み上げ、阿倍仲麻呂や鑑真の名前を列挙して、日本人の自尊心をくすぐったのである。だが、少し歴史の裏面に詳しい人なら気づくが、阿倍仲麻呂は日本から頭脳流出した人材だし、鑑真はミッションの使命を帯びて訪日した唐の僧であり、ベクトルの流れの方向に真意が秘められているのだ。

 日中関係で日本が誇る歴史的な人物を扱う時には、当時の世界の中心だった唐で密教の神髄をマスターして、法灯を日本に伝えた真言開祖の弘法大師とか、シナ学の巨人としてアジアの至宝の内藤虎次郎が聳え立つ。空海や湖南を引用したのなら胸を張ってもいいが、阿倍仲麻呂や鑑真の名前に感激してしまい、「歴史人物を列挙して友好を強調した」と喜ぶのでは、余りにも単純でお人よしだと笑われてしまう。

 現に温家宝の演説の全文を読んで感じるのは、中国が侵略された歴史をソフトに表現しており、残留孤児や日本人の引き上げの美談物語に続いて、「中国は昔から徳を重んじ武力を重んぜず、信を講じ、睦を修めるという優れた伝統がある」という、文飾の国にふさわしい自己宣伝までやっている。しかも、草稿にあった「中国人民は日本人民が平和発展の道を歩いていくことを支持する」という部分を省き、事前の打診を抜いて天皇に北京五輪の訪中を招請したことで、安倍内閣を軽視した記録まで残ったのである。


軍国主義と反動路線で萎縮する未来の日本

 こんな指摘をしても私は反中国の人間ではなく、世界で仕事をして身につけたノウハウの中に、無言の発言に重要な意味を潜ませる技法があるので、相手の意図としてそれを読み取っただけのことだ。したたかな中国外交を構造主義の立場から、その伝統的な政治感覚を分析したのであり、外交辞令の裏の意味を読み取ったに過ぎない。

 議会政治の基本と伝統に無知な安倍首相は、国会での慎重な議論の手続きを省いて強行突破する、独裁者が好む「始めに結論あり」のやり方で、「教育基本法抹殺」、「防衛省への昇格」、「国民投票法のごり押し」という具合に、問答無用の強行採決の手法を繰り返して来た。強行した安倍内閣は世襲議員集団で、日本の「七光り族」は中国の特権族の「太子党」に等しいが、北京の政権中枢には太子党などいないのだ。

 戦略なしで執念だけで盲進する安倍政治は、自滅に向かう「義和団」の日本版であり、幼稚なトップに率いられた日本の進路決定が、時間の関数であることは温家宝首相に丸見えだ。温家宝流の長期的な国家戦略に基づけば、日本は孫子が『軍争篇』で論じた「逸を以って労を持つ」の対象で、彼の訪日は日本の運命の転換点に重なった。

 戦前レジームに回帰して軍国主義化する日本は、消耗して疲労する路線を遭進することで、美辞で粉飾した虚妄の国家はファシズム体制になり、その運命は没落への一方通行へ突入して行くだけである。それに対して、ブリックス(Brazil, Russia, India, China)に属す中国の未来にはより希望が持ち得て、独裁的な共産党支配が破綻してもその後には内乱を経て、民主的な社会の登場を期待できる。だから、日中の独裁政権が共に行き詰まりに直面するに際して、似たように破綻しても受ける打撃が異なることは、歴史の教訓が示唆する通りなのである。

 ブリックスという言葉を最初に提示したのは、ゴールドマン・サックスが出した『ブリックスと見る夢2050年への道、Dreaming with BRICs: Path to 2050)』と題した2003年秋のレポートである。この報告書にある具体的な内容としては、2050年におけるGDPは1位の中国が44・5兆ドルであり、2位の米国の35・2兆ドルにインドが27.8兆ドルで続き、日本は6・6兆ドルで6兆ドルのブラジルに肉薄され、追い抜かれるという構図として予想されている。

 安倍が美しいと妄想している日本の未来は、軍国主義と反動路線に熱を上げた愚行により、中国や米国の二割の経済力に萎縮してしまい、国民は軍国憲法と教育勅語で威圧され、「自由」という言葉に憧れる奴隷国家になる。それがどんな意味を持っているかについては、歴史意識に乏しい安倍晋三に分からなくても、地質学を専攻し時間と空間の問題に詳しい温家宝にとって、「自明の理」だと類推せざるを得ないのである。

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2007年7月 4日 (水)

『ヒバクシャ』

「原爆しょうがない」発言で久間防衛相がついに辞任しました。
久間防衛相の『原爆しょうがない』発言部分の映像

それにしても、後任の防衛相が小池百合子首相補佐官とは世も末です……。これは人材が枯渇している日本を象徴した人事と言えるのであり、安倍首相の選んだ小池百合子という人物の裏の顔については以下の記事を再読願います。
安倍内閣の世にもお粗末な首相補佐官人事

さて、この久間発言を巡って大騒ぎになったマスコミ界ですが、そうした騒動の陰でうっかり見落としそうな、重要な原爆関連の記事がJANJANに載りました。
遺族に無断で臓器を摘出・英核燃料再処理(1)
遺族に無断で臓器を摘出・英核燃料再処理(2)
遺族に無断で臓器を摘出・英核燃料再処理(3・終)

B070704 原爆と言えば一般に広島と長崎の被爆者を連想するのが普通であろうし、過去の話と考えている読者も多いと思います。しかし、実際は第二次世界大戦が終わった当時よりも、現在の方が事態はより深刻なものになってきており、日本の国土に住む人たちのほぼ全員が「ヒバクシャ(内部被曝者)」になる可能性があるのです。ここで、被爆者とせずにヒバクシャとしたのは、『ヒバクシャ』というドキュメンタリー映画を制作した鎌仲ひとみ監督の定義に従ったものであり、鎌仲監督はヒバクシャを以下のように定義しています。

 「ひばく」といえば、「被爆」という漢字を使うが、これは身体の外から放射線を浴びた場合の「ひばく」であり、身体の中から浴びる場合は「被曝」という漢字を使う。しかし、私は、カタカナで「ヒバクシャ」と表現することにした。
『ヒバクシャ』(鎌仲ひとみ著 影書房)p.35

B070703 私の言う、「日本の国土に住む人たちのほぼ全員がヒバクシャになる可能性がある」は後者の「被曝」の危険性を指しています。「被曝」の怖さにいつては鎌仲監督が著した『ヒバクシャ』や同監督のドキュメンタリー映画『ヒバクシャ』を実際に観ていただくとして、なぜ、「日本の国土に住む人たちのほぼ全員がヒバクシャになる可能性がある」と言い切れるのか、映画『ヒバクシャ』の中で肥田舜太郎医師の発言に耳を傾けたり、ウェブで読むことのできる肥田医師の以下の発言に注目してください。

乳ガンはなぜ増えたか

 アメリカの白人女性の乳ガンは、1950~89年に倍増しました。婦人運動の要請を受けて政府は原因を調査、大気汚染や化学物質のせいだと説明したのです。

 本来は企業系のいわゆる御用学者だったJ.M.グールドは、その説明に不審を抱き、たくさんのスタッフをやとって統計を分析しました。全米3053郡のガンの統計を調べてみると、乳ガン患者が増えている郡は1319だけです。

 1319の郡について、水や食べ物の汚染といったあらゆる諸要素との相関を、グールドは緻密に調べました。すると1319郡はすべて、100マイル(約160km)以内に、原子炉(軍用、発電用、研究用など)があったのです。

……中略……

 私はいま、日本でも同じ相関がないのかどうか、確かめようとしています。日本では、原子炉が160km以内に無い県はないので、80kmで試行錯誤しています。作業の協力者を求めています。(筆者:肥田さんの作業の途中経過は『内部被曝の脅威』(ちくま新書)で、すこし触れられています)

当初、自分で被曝の怖さについて一筆書こうと思っていましたが、上記の被曝に関する優れた記事「かくされてきた被曝 ぶらぶら病」で十分言い尽くされていると思いましたので止めます。トドメとなるのが以下のサイトでしょう。オーナーは以前原発に勤めていた平井憲夫さん(故人)です。
原発がどんなものか知ってほしい

原発の怖さを知っているはずの東電をはじめとする日本の電力会社が、どうして未だに原発を推進しているのかについての話は別の次元の話になりますので、機会があればいずれ執筆してみたいと思います。ともあれ、日本の場合は原発が恐怖の内部被曝につながるという点を記憶に留めておいてもらえれば幸いです。

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2007年6月30日 (土)

相伝のワシントン流の謝罪術と遁走曲

在米の国際ジャーナリスト・藤原肇氏が『財界にっぽん』に毎月掲載している「遠メガネで見た時代の曲がり角]の最新版です。ホームページ【宇宙巡礼】にも先ほどアップしました。

『財界にっぽん』2007年7月号

[遠メガネで見た時代の曲がり角] 連載第8回



相伝のワシントン流の謝罪術と遁走曲

藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト)在米



 国内政治は問答無用の強権政治で押し切ったが、慰安婦問題についての発言で安倍は無責任さを露呈し、軽率な首相の恥が全世界に伝播した。3月10日号の『エコノミスト』は「安倍よ恥を知れ Shame on you」と書いたし、3月24日の『ワシントンポスト』の社説はタイトルに「アベシンゾウの二枚舌 Shinzo Abe’s Double Talk」と表現した。だが、国内メディアはこの件を触れなかったので、国民は日本の評価が大暴落した事実について、何も知らない状態で放置されたままだ。

  しかも、昔から「弱り目に崇り目」と言う言葉があって、第二回目に書いたようにネオコンとして安倍の保護者を任じていた、ポール・ウォルフォウィッツ世界銀行総裁のスキャンダルが、ワシントンで炎を燃え上がらせ始めた。3月28日の『ワシントンポスト」はカーメン記者の署名記事で、ポールが愛人のシャハ・リザに特別便宜を与えて、それまで13万ドル強の年俸を19万ドル強に増やし、給料は銀行持ちで国務省に出向させていた事実を取り上げ、これがお手盛りだったと問題にした。

  もっともポールとシャハの愛人関係については、スキャンダル好みの英国のタブロイド紙が取り上げて、ポールの世銀総裁就任が決まった直後から、『デーリー・メール』などが問題にして書き立てていた。リビアに生まれサウジで育ちトルコ人と結婚したシャハは・ロンドンのLSEを出てオックスフォード大で修士を取り、アラブ語、トルコ語、英語、仏語、伊語を操る才媛で、念の入ったことに英国国籍の持ち主だった。

  レオ・シュトラウスの学風を身につけたアシュケナジのポールが、米国のネオコンとして幾ら派手に動いたにしても、セファラダムの彼女に牛耳られるだけというのが、中東情報に詳しい英国風の筆致に感じ取れた。だから、英国でキナ臭い煙を出していたスキャンダルが、『ワシントンポスト」の記事で燃え上がった後で、英国の『フィナンシャル・タイムス(FT)』は取り上げて記事にしたのに、ネオコン系の『ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)』は暫く事件を黙殺してから、やっと世界銀行総裁を擁護する記事を書き始めた。

  国際世論の非難の的になっていた安倍首相には、ネオコンで庇護者のポールの不始末の重要性について、思い巡らす心の余裕も頭脳力もなかったし、四月には何かと慌ただしい日程がぎっしり詰まっていた。六年振りに訪日する中国の温家宝首相を始め、各地の首長が決まる地方選挙が控えていたし、月末に始まる連休を使った恒例の外遊では、米国や中東諸国を訪問する日程があり、特に米国で盛り上がっている慰安婦問題を前にして、ボロを出さないかが大きな懸案だった。憲法改訂のための国民投票法を成立させるには、中国の温家宝首相が国会演説をするドサクサ紛れに、委員会採決と衆議院の与党採決を強行することが、安倍にとっての最重要のスケジュールであり、それを予定通り実行したのである。だが、曲者の温家宝は役人が書いた演説草稿を読み上げ、阿倍仲麻呂や鑑真らの名前を列挙して、日本人の自尊心をくすぐっただけではなく、草稿の「中国入民は日本人民が平和発展の道を歩いていくことを支持する」という部分を省いた上に、事前の打診を抜き天皇に北京五輪の訪中を招請して、安倍内閣を軽視する姿勢を記録に残した。

  外交では無言の発言に重要な意味を潜ませるが、そういう「エクリチュールの意味論」に疎い鈍感な安倍首相は、国民投票法の衆議院通過に満悦していた。また、世界銀行のスキャンダルがワシントンで火を噴き、安倍の後見人のポール・ウォルフォウィッツが記者会見で謝罪して、強情を張る安倍に謝罪の手本を示したが、共に自発的に責任を取って辞任しないで居直った点では、「この師にしてこの弟子あり」の見本だった。

  だが、この段階では未だ真意が日本に伝わらず、安倍は那覇基地で行われた自衛隊員の葬式に出かけたが、輸送中のヘリコプターが墜落した程度の交通事故は、本省の輸送課長や儀典担当官の仕事なのに、わざわざ首相が参列したのだから呆れる。現に4月16日の『朝鮮日報』は東京特派員の記事として、「果たして韓国の大統領が、韓国軍の葬送式に参席したことがあるだろうか」と疑問を呈していたが、今後の交通事故などでの葬式のことまで考えれば、それなりの立場に居る者は行動を自重して、慎重に振舞うのがけじめだと知るべきであった。

  居座るために一応は謝ったポールのやり方を見て、同じ手口が使えると考えた外務省の役人が試みたのは、共にネオコンの砦として知られたメディアを使い、首相の訪米の時に世論の沈静化を図るという企画だった。質問事項を限定し『ニューズウイーク』と『ウォールストリート・ジャーナル』にインタビューさせ、それで批判の楯にするという広報活動の一環でもあった。だが、取材記者を高級すし屋で接待漬けにして、機嫌を取った裏話まですっぱ抜かれたのは、よほど慌てていたにしても脇が甘かった。

  首相官邸で安倍がインタビューを受けていた頃に、右翼に銃撃された伊藤長崎市長が死亡して、軍国主義への傾斜が急速に進む中で、日本ではテロの季節が本格化していた。国連の軍縮局のライデル上級政務官が謹んで、「立派な大儀を持った真のリーダーを失った」と述べたが、異論を問答無用で圧殺する政治的狂気が、「戦後レジームからの脱却」の名で蘇ろうとしている。

  しかも、戦争屋として田中真紀子が嫌悪したアーミテージが、安倍に即席の知恵を授ける目的で駆けつけ、言葉遣いやテーマの展開を教える師匠として、首相官邸で訪米直前の手ほどき工作をしたのである。安倍が余りに頼りないと判断したにしろ、一国の首相が外国の役人に指図されたのでは、とても独立国と呼ぶことが出来ないが、世界に通用しない隷属関係を目の前にして、日本のメディアは不感症を呈していた。

  更に、安倍の訪米に合わせて韓国系のグループが、『ニューヨーク・タイムス』などの主要新聞に広告を出し、慰安婦問題で安倍首相に謝罪を求めるとか、ワシントンで抗議デモを組織すると言われていた。だが、バージニア・テク大学での銃撃事件の犯人が韓国系だったので、強い衝撃のために盛り上がらなかった。その影響で安倍訪米へのメディアの関心も低調だったが、心配の余りに二日だけの短期滞在で済ませ、安倍は逃げるようにしてアメリカを立ち去り、次の予定地の中東諸国に向かったのである。

  奇妙奇天烈だったのは安倍がとった態度であり、一部の米国議員や大統領に謝罪の意思表示をしたのに対して、ブッシュは「私は首相の謝罪を受け入れる」と答えたが、朝日新聞が社説で指摘していたように、首相が謝罪すべきは元慰安婦に対してのはずだ。現に4月29日の『朝鮮日報』の社説はそこに噛み付いて、「頭がおかしい安倍首相、話にならないブッシュ大統領」という見出しで、「日本の首相はなぜ慰安婦の人々ではなく米国の大統領に謝罪し、米国大統領は何の資格があってその謝罪を受け入れるというのか」と非難していた。

  それにしても、慰安婦問題は戦争責任の一部に過ぎない。しかも、植民地人や戦争捕虜を使った強制労働を始めとして、戦地での住民殺教や略奪の問題が山積みであり、軍国主義が安倍内閣の手で復活することで、日本人への警戒心と非難は高まる一方だ。そうした課題を解決せずに先送りして、その上に大きなシコリを残したことにより、2007年4月は迷走と暴走によって彩られた、不吉な曲がり角を右折した「卯月ならぬ憂月」になったのである。

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2007年6月13日 (水)

日本の荒廃を世界に曝した阿倍政治の醜態

在米の国際ジャーナリスト・藤原肇氏が『財界にっぽん』に毎月掲載している、「遠メガネで見た時代の曲がり角]の最新号が出ましたので以下に転載いたします。

『財界にっぽん』2007年5月号

[遠メガネで見た時代の曲がり角] 連載第7回



日本の荒廃を世界に曝した阿倍政治の醜態

藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト)在米



 世界に通じる教養に不足した日本の首相が、慰安婦問題について十分に熟慮しないで、「強制した事実を裏付ける証拠は無い」と断言して、政治責任(アカウンタビリティ)の欠如を明白に露呈したために、それが世界から反発の嵐を巻き起こした。幼稚で粗野な安倍晋三の思い込みに従い、その場逃れと嘘の上塗りを放置したので、安倍首相に向けた「恥知らず」という非難は、世界のメディアが書く責任論の洪水として、日本の悪名の形で世界を駆け巡っている。

 3月6日の『LAタイムス』のオピニオン欄には、ジョージ・ワシントン大学法学部のシェルトン教授が、「日本はこの恥知らずを隠蔽できない」と題して寄稿したし、同日の『ニューヨーク・タイムス」の社説は安倍発言について、「女性たちは強制徴用されたのに、日本は事実を捻じ曲げ恥を晒している」と書き、8日には一面を使った記事で「安倍は戦時中の過去を抑え込んで、成り上がった国家主義者だ」と糾弾した。

 韓国と中国の非難は定番通りで激しかったが、東南アジアで侵略された国ぐにも声を荒げて、『マニラ・タイムス』や香港の『明報』は「歴史の改窟だ」と日本政府の卑劣さを攻撃している。

 だが、問題は未だ「慰安婦」が中心になっており、戦時中の植民地人や捕虜の強制労働を始め、日本兵による戦場での残虐行為については、表立った形で取り上げられていない。だから、強制労働をした麻生炭鉱の御曹司が、靖国カルトの外務大臣である点は見過ごされており、内閣全体が火ダルマになるには至っていない。

 それにしても安倍首相は相変わらず居直り続け、鉄面皮で責任逃れの愚策を弄しているのに、言論界はこの破廉恥男の辞職さえ求めていない。しかも、刻々と日本の立場が損なわれて行くのに、こんな人物が首相である事実により、世界で生きる私でも日本人であることが恥ずかしくなる。

 日本人なら誰でも知っていることだが、安倍は閣僚になった経験がないだけでなく、政治家としての経験も至ってお粗末であり、世界に通用する常識や政治理念も持ち合わせていない。だから、3月13日に岡山で記者会見した小沢一郎は、「首相というのは政治理念 や哲学をきちんと勉強し、持っているのが普通の場合は要請されるが、そういう点が見られない。その時々に言葉を発しているだけだ」と安倍をけなしている。

 『小泉純一郎と日本の病理』に書いたように、留学と称してロスに滞在していた安倍青年は、取得した単位がゼロだっただけでなく、学歴詐称と同様に不透明な過去を持っている。そして、韓国の諜報機関や統一教会と密着した、政治フィクサーだった朴東宣に手なづけられ、「ぺーパークリップ作戦」で反共闘士の洗礼を施されたとか。

 しかも、北朝鮮に対しての強硬姿勢を前面に出し、祖父が首相の血筋と若さを売り物にして、ヤラセ同然だった総裁選挙に勝ち、自動的にトップに立ったのが安倍の経歴だ。だから、党内では「ぼくチャン首相」と呼ばれるし、安倍晋三の実態は「ふ金総裁」に過ぎないから、難局に直面すると簡単にボロを出してしまう。

 小沢が言う政治理念の無さに加えて、政治を語る自分言葉も持ち合わせていないので、発言の中身がないのを直ぐ見抜かれてしまう。そして、施政方針演説が「空虚な言葉の羅列」だったと、『フィナンシャル・タイムス』が世界に報道したように、実力の無さは見くびりの対象にと転化する。小泉劇場に見とれる程度の大衆が相手なら、奇兵隊員向けの田舎芝居でも済むが、世界に向けてメッセージを発信するためには、感情ではなく論理と知性の裏づけが必要である。

 「事実を裏付ける証拠は無い」と断言した安倍晋三は、この言葉で十分に説明を果たしたと思っただろうが、政治家としての彼の経験と頭脳程度では、役人に教えられた発想しか出来ないために、事実や証拠を物質的なものに限定して、公文書だけが証拠だと考えたに違いないと思う。公文書を抹殺すれば証拠が無いので、責任の追及から逃れられるというのが、役人の特徴的な発想だからである。

 昔から落城のときに証拠になる文書を燃やし、領主に責任追及が及ばなくするという仕事が、家老に与えられた最大の責務だった。また、現在でもライブドアー事件の時の手入れ直前において、シュレッダーで書類を徹夜で破壊したことは、活字になって衆知の事実として知られている。

 現に橋本内閣による省庁大合同によって、どれほど大量の書類が廃棄になったかは、当事者たちしか知らない事柄に属しており、国民の知る権利は闇に葬られている。特に大蔵省は竹下や橋本が牛耳った時代に、現在の金融崩壊と経済破綻があったので、合理化の口実に便乗した証拠隠滅が、試みられていた可能性は濃厚だ。自民党体制の崩壊を前にした1990年代は、責任追及を回避するために証拠を隠滅し、誰も責任を取らずに済むように考えて、敗戦の時の知恵を借りた者がいたはずだ。


敗戦の時の証拠隠滅工作のエピソードと責任の回避

 拙著の中に『情報戦争』と『インテリジェンス戦争の時代』があり、その中に次のような記述が記録としてあるが、敗戦に臨んだ外務省であった情景である。

 「この時期の外務省は大混乱に陥っており、外相は東郷茂徳から重光葵に代わって、引継ぎや閣議であわただしかったが、暗号解読の特別情報班はすべてが支離滅裂で、ロッカーの中から書類を全部庭に持ち出し、大急ぎで掘った穴の中で焼却処分した。暗号帳などはなかなか燃えにくかったから、石油をかけて二日がかりでやっと灰にしたが、最後にはマル秘のハンコまで火の中に放り込んだ…。」

 これは外務省のブラックチェンバーの統括責任者だった、早川聖さんが物語った体験談であり、当時カナダにいた私は彼に出会い、毎週のように彼を招いて夕食を共にしながら、八年を費やして全体験を聞き出し、数十本のテープに録音したものを書き起こして、歴史の証言として本にしたのである。

 この例を見ても明らかなように、書類を保存して資料として残すよりは、証拠を隠滅して責任追及を逃れることが、役人や政治家にとって優先事項であり、職員が総出になって書類を燃やす伝統が日本にはある。

 しかも、慰安婦問題を取り上げたNHKに対して、権力者として放映直前に圧力をかけ、安倍幹事長代理と中川経済産業相が番組改鼠を要求し、憲法や放送法違反を犯した事実がある。それだけではなく東京高等裁判所が、番組改竃だ違法だとの判決を下したのに、安倍は「介入はなかった」と開き直っており、嘘つき男としての悪名をテレビで広め、首相の名前を汚辱まみれにしている。

 こんな不塔な暴虐政治が行われているのに、安倍は現在も首相のままで中川昭一は政調会長であり、違法行為に対しての反省も無いまま、今度は世界に向かって嘘をつきまくっている。こんな日本のでたらめ政治と暴君に対して、世界が猛反発するのは至って当然であり、亡国路線を改めない限り日本に未来は無い。

 これを見ても日本がいかに狂った国に成り果て、自力ではとても正常な状態に戻れないので、世界からの外圧に期待するだけという、実に惨めで情けない状況に陥っていると分かる。だが、こうした破廉恥な政治家たちの放置を止め、狂気に満ちた火遊びを防ぐ努力をしない限りは、日本は世界から嘲笑され続けるだけで、亡国路線の中で悲惨な状態を目指して没落して、最後には天罰まで受けるのではないか。

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9条改憲の賛否を問う質問 回答まとめ

いよいよ参議院選挙が来月に迫ってきました。過日アップした「参院選候補者への質問発送」の結果が出ましたので、以下の名月さんの報告を一読願います。
9条改憲の賛否を問う質問 回答まとめ

先に取り上げた教育法改正も9条改憲に結びつくことは容易に想像できます。
我が子を戦場に送っても良いのか…

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2007年6月 4日 (月)

藤原さんとの出会い

在米の国際ジャーナリストである藤原肇氏が、『財界にっぽん』という経済誌に毎月掲載している「遠メガネで見た時代の曲がり角]を本ブログでは過日転載しています。先ほど本ブログに載せた政治評論家の森田実氏の記事を目にした、藤原肇氏と交流のあった元朝日新聞の記者の斎藤義雄氏が、私が副管理人を務める「藤原肇の宇宙巡礼」に以下のような投稿をしてくれました。

名前:斉藤義雄 投稿日: 2007/06/04(月) 17:10:44
久しぶりですね。元気で活躍されている様子とホームページの存在をを知り、懐かしさと共に嬉しくなってお便りしました。三十年ほど前に取材して記事を書いた朝日の経済部の斉藤です。私が読んだ記事でみる昔変わらぬ鋭い発言は、今の日本にとって何よりも必要な言論の威力です。この記事は大切だと思うので再掲載しておきます。
★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK35 > 772.html
次へ 前へ
Re: 藤原肇氏の徹底的な安倍政治を批判した記事の威力
http://www.asyura2.com/07/senkyo35/msg/772.html
投稿者 ものぐさ太郎 日時 2007 年 6 月 04 日 15:36:17: .yeE2v5B/41rM

(回答先: 藤原肇氏(フリーランス・ジャーナリスト、在アメリカ、『小泉純一郎と日本の病理』の著者)からの手紙 (森田実の言わねばなら 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 6 月 04 日 08:23:35)

森田実氏が紹介して絶賛している藤原肇というは米国在住のジャーナリストは、20年位前は『文芸春秋』や『エコノミスト』などによく執筆して、現役時代のわれわれ新聞記者は国際政治とか、石油についての国際情勢について多くのことを教えてくれた。最近は日本の主流の雑誌が迫力のある記事を掲載しないので、こういう真実を語る人の記事が雑誌から消えて久しいと思っていた。われわれオールド記者にとって懐かしい名前だから、検索して探したら『宇宙巡礼』というホームページがあるのが見つかった。
http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/
そうしたら『財界にっぽん』に連載していると分かったし、古い記事はかなりダウンロードして読めるようになっていた。
http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/fujiwara/article/abe04.htm
http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/fujiwara/article/abe02.htm
その中でも上の二つの記事は安倍内閣の無能さについて徹底的に論じており、こういう記事が日本の総合誌から消えたことが、日本の言論界の衰退の原因だと痛感した。実際問題として藤原記者が書いた『小泉純一郎と日本の病理』は、小泉政治がいかに支離滅裂であったかを暴露していた点で、これに勝る本は未だに日本には登場していないのである。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4334933688/250-5330185-1699445?v=glance&n=465392
そうであれば、『財界にっぽん』に連載されている記事は、次に予想される安倍晋三という暴君の狂った政治の病理について、本として出版されるものを予告しているのではないかと考えられた。そこでサイトでは読めない最近の記事が読みたくなり、書店を探したがなかなか見つからなかったが、ようやく日本橋の丸善で最新号を買うことが出来た。
七月号の記事は「相伝のワシントン流の謝罪術と遁走曲」という題で、この四月における安倍の支離滅裂な行動がみごとに総括されているだけでなく、ネオコンで安倍の保護者として君臨し、世界銀行の総裁のポール・ウォルフウィッツのスキャンダルについて、驚くべき詳細な分析がしてあったので驚いた。こんなすごい記事は世界の新聞を幾ら読んでも、誰も書いていないのではないかと思った。
民主党がこの記事のコピーを何百万枚か作り、参議院選挙の一週間前に駅の改札口とか、通行人に手渡せば選挙に圧勝できるかも知れない。それほど強烈で衝撃的な内容の記事だと思った。現在発売中なので記事の紹介は差し控えるが、日本の新聞記者仲間や評論家にぜひ読むことを勧めたい。念のために地方に住む場合には財界にっぽん社に連絡することで、手に入れることも可能かもしれないので電話番号を書く。Tel;03-3257-6701、

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森田実の言わねばならぬ[281]

B051030 以下の記事は『森田実の時代を斬る』に載った在米の国際ジャーナリスト・藤原肇氏の記事です。なお、文中の『NEW LEADER』2007年5月号の「《安倍首相に直言する》“意味論オンチ”が日本の評価を大暴落させた」は7月ころ、『財界日本』6月号の記事は数日の内にホームページ【宇宙巡礼】にアップ致します。

2007.6.2(その1)
森田実の言わねばならぬ[281]

平和・自立・調和の日本をつくるために【192】
藤原肇氏(フリーランス・ジャーナリスト、在アメリカ、『小泉純一郎と日本の病理』の著者)からの手紙

「賢を見ては斉(ひと)しからんことを思う」(孔子)[自分よりすぐれた人に接したら、その人のようになろうと心掛けることが大切である、という意]

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 著名な国際ジャーナリストであり、在アメリカのフリーランス・ジャーナリスト、藤原肇さんからご丁寧なお手紙をいただいた。
 藤原さんは、「NEW LEADER 2007.5」によると、「仏グルノーブル大学理学部博士課程修了。理学博士。多国籍石油会社で石油開発担当後、米国で石油会社経営。ビジネス引退後、ジャーナリストとして活躍。著書は『小泉純一郎と日本の病理』『賢く生きる』等多数」。
 藤原肇氏からのお手紙にはこう書かれている。

《私はアメリカに住む日本人で、40歳の頃にビジネスを引退し、日本には真の意味でのジャーナリストが不在なので、それ以来はフリーランスとして世界で仕事をしています。最近の日本のメディアは本当に腰抜けになってしまい情けないかぎりです。》

《最近の大兄の記事でウクライナのスカチコ氏との一問一答の読みました。国内に向けて何を言っても日本人の脳が動いていない以上は、このように外に向かって発言してそれを国内に逆流させるのが最良と思っていますので、こういうやり方を続けてください。
 私が日本で本を出しても、大事なところはバサッと削られてしまうので、言論の自由など存在しないと実感しています。そこでフランス派の私が苦労して英語で書いたりしていますが、アメリカの大新聞の編集長のレベルが低いために、ヨーロッパでしか記事にならなくて残念です。日本語では100年後の歴史の資料になるだろうと証言を残しています。》

 藤原氏のような才能豊かな強い精神の持ち主が、世界を舞台にしてジャーナリストとして活動していることは大変心強く、ありがたい。天に感謝したい気持ちである。 藤原氏は、最近、日本の雑誌に論文を書いておられる。

 一つは「NEW LEADER」2007年5月号の[《安倍首相に直言する》“意味論オンチ”が日本の評価を大暴落させた――「美しい国」どころか醜悪な暴政に陥る危険性――]。

 藤原氏はこのなかでこう述べている。
《日本の信用と国家の威信が損なわれ続け、日本が蔑視されている現実こそが問題だ。安倍首相が従軍慰安婦問題について「強制性を裏付ける証拠はない」と断言したことが、世界の世論の猛烈な反発を引き起こしたため、安倍晋三のせいで日本の評価は大暴落した。》

《今の日本には怨念と屈辱感に支配されて、「一つ覚え」のように憲法改正を叫びまくり、不可欠な理念や理想の議論が脱落したまま、強引に押し切る悪しき手口が蔓延している。》
 安倍政権への厳しい批判である。

 もう一つは『財界にっぽん』2007年6月号の[〔遠眼鏡で見た時代の曲がり角〕日本の荒廃を世界に曝した安倍政治の醜態]。
 このなかで藤原氏はこう述べている(pp.4-7)。
《世界に通じる教養に不足した日本の首相が、慰安婦問題について十分に熟慮しないで、「強制した事実を裏付ける証拠は無い」と断言して、政治責任(アカウンタビリティ)の欠如を明白に露呈したために、それが世界から反発の嵐を巻き起こした。幼稚で粗野な安倍晋三の思い込みに従い、その場逃れと嘘の上塗りを放置したので、安倍首相に向けた「恥知らず」という非難は、世界のメディアが書く責任論の洪水として、日本の悪名の形で世界を駆け巡っている。》

《それにしても安倍首相は相変わらず居直り続け、鉄面皮で責任逃れの愚策を弄しているのに、言綸界はこの破廉恥男の辞職さえ求めていない。しかも、刻々と日本の立場が損なわれて行くのに、こんな人物が首相である事実により、世界で生きる私でも日本人であることが恥ずかしくなる。》

《北朝鮮に対しての強硬姿勢を前面に出し、祖父が首相の血筋と若さを売り物にして、ヤラセ同然だった総裁選挙に勝ち、自動的にトップに立ったのが安倍の経歴だ。だから、党内では「ぼくチャン首相」と呼ばれるし、安倍晋三の実態は「ふ金総裁」に過ぎないから、難局に直面すると簡単にボロを出してしまう。》

《(安倍首相らは)世界に向かって嘘をつきまくっている。こんな日本のでたらめ政治と暴君に対して、世界が猛反発するのは至って当然であり、亡国路線を改めない限り日本に未来は無い。
 これを見ても日本がいかに狂った国に成り果て、自力ではとても正常な状態に戻れないので、世界からの外圧に期待するだけという、実に惨めで情けない状況に陥っていると分かる。だが、こうした破廉恥な政治家たちの放置を止め、狂気に満ちた火遊びを防ぐ努力をしない限りは、日本は世界から嘲笑され続けるだけで、亡国路線の中で悲惨な状態を目指して没落して、最後には天罰まで受けるのではないか。》

 在アメリカのフリーランス・ジャーナリスト、藤原肇さんの安倍政治と日本の未来を憂う論説に学ぶこと大である。藤原氏の訴えに真剣に耳を傾けたい。  
 藤原肇さんの憂国の情がひしひしと伝わってくる。われわれ日本国内で言論活動をしている者は、この藤原さんの憂国の情に応えなければならないと思う。

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2007年5月28日 (月)

参院選候補者への質問発送

ブログ【反戦な家づくり】の名月さんが、以下のようなアンケートを今夏の参院選の立候補予定者に送信しています。ブログ【教育の原点を考える】も賛同ブログの一つとして名を連ねていますが、名月さんがアンケートを送付した6月5日以降、その結果を見て思うことがありましたら投稿する予定です。

******************************************************
参議員選挙候補予定者 各位

                  質問へのご回答のお願い

 日頃は、私たち生活者の暮らしのためにご尽力いただき、感謝申し上げます。

 いよいよ参議院選挙が2ヶ月後に迫って参りました。 私たち、平和を願う国民は、固唾を飲む思いでこの選挙を迎えようとしております。

 去る5月14日には、国民投票法が強行採決され、改憲への日程が始まってしまいました。

 安倍首相は、改憲が参議院選の争点であると言い、その安倍首相の自民党の新憲法草案では、9条2項が削除されて交戦権を認める内容となり、次条において軍隊の保持が明記されています。

 こうした、9条の改変の動向について、候補者の方の賛否をお聞かせ下さい。

 ご回答いただいた結果は、末尾に列記した賛同ブログおよびその他のブログ等に掲載・転載され、少なくとも数十万人の読者にお知らせすることができると思います。

 それでは、よろしくお願いいたします。

質問1  あなたが当選した場合、その任期中に憲法9条を改変することに反対しますか。
(改変に反対する・改変に反対しない のどちらかで回答ください)

質問2  できましたら、その理由を、以下にお書きください。

期 限  恐れ入りますが、公示1ヶ月前の、6月5日までにご回答をお願いいたします。

回答先(発起人) 反戦な家づくり・明月
         (http://sensouhantai.blog25.fc2.com/
            メール:info@mei-getsu.com
           FAX:06-6720-XXXX(実物には実在の番号を書きます)

賛同ブログ(順不同)

1.季節 http://pueblo.seesaa.net/

2.闘うリベラルのチャンネル(新宅) http://f-liberal.seesaa.net/

3. きっこの日記 http://www3.diary.ne.jp/user/338790/

4.BLOG BLUES http://blogblues.exblog.jp/

5.今日の喜怒哀楽 http://2.suk2.tok2.com/user/mankiru/

6.ミクロネシアの小さな島・ヤップより http://suyap.exblog.jp/

7.すえっこブログ http://saq5123.cocolog-nifty.com/blog/

8.きらきら http://kirakiranet.cocolog-nifty.com/kirakira/

9.リーフチェッカーさめの日記 http://shark.ti-da.net/

10.教育の原点を考える http://pro.cocolog-tcom.com/edu/

11.フーテンのだいだい憂鬱なブログ http://daidai4170.blog81.fc2.com/

12.黄昏石狩日記 http://pub.ne.jp/mieko53hatiman/

13.語も語る http://sunokataru.blog85.fc2.com/

14.ザ・のじじズム http://blog.nojijizm.jp/

15.milkyshadows http://blog.milkyshadows.net/

16.大津留公彦のブログ2 http://ootsuru.cocolog-nifty.com/

17.ぞえなよ! http://kobutsukihitsuji.blog94.fc2.com/

18.カナダde日本語 http://minnie111.blog40.fc2.com/

19.ゆうやけ note http://dannoura-news.cocolog-nifty.com/blog/

20.憧れの風 http://yuirin25.seesaa.net/

21.きまぐれな日々 http://caprice.blog63.fc2.com/

22.憲法と教育基本法を守り続けよう http://blogs.yahoo.co.jp/y2001317

23.亭主の日乗 http://yaplog.jp/hiroshimaya/

24.40代真面目気分 http://yosoji.cocolog-nifty.com/

25.アッテンボローの雑記帳 http://rounin40.cocolog-nifty.com/

26.玄耕庵日乗 http://genkoan.exblog.jp/

27.秋扇巵言 http://blog.so-net.ne.jp/kou-kou/

28.気の向くまま http://blue.ap.teacup.com/una3310/

29.平和のために小さな声を集めよう http://heiwawomamorou.seesaa.net/

30.Good by! よらしむべし、知らしむべからず http://c3plamo.slyip.com/blog/index.html

31.野田明子の『道々日記』 http://akikonoda.exblog.jp/

32.逍遥録 -衒学城奇譚- http://ameblo.jp/seitennkyuu/

33.自然保護、政治、思想、その他思いついたこと http://blogs.yahoo.co.jp/kk_kenjijp

34.A Tree at ease http://luxemburg.exblog.jp/

35.Heaven or Hell? http://kuroki-rin.cocolog-nifty.com/heaven_or_hell/

36.懐疑主義者のニュース倉庫・別館 http://kaigi.blog68.fc2.com/

37.飛語宇理日記 http://yanenoueno.seesaa.net/

38.moONfolKs http://missannu.exblog.jp/

39.T.N.君の日記 http://stenmark.exblog.jp/

40.津久井進の弁護士ノート http://tukui.blog55.fc2.com/

41.ツァラトゥストラはこう言っている? http://moon.ap.teacup.com/zarathustra/

42.華氏451度 http://blog.goo.ne.jp/bebe2001pe

43.カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/

44.美しい壺日記 http://dj19.blog86.fc2.com/

45.どらみ情報局 http://doramin.cocolog-nifty.com/blog/

46.ベースケ日記 http://phantom666.cocolog-nifty.com/

47.HONDAビート再生日記+あるふぁー http://blogs.yahoo.co.jp/racingspirit1964

48.BLOG版「ヘンリー・オーツの独り言」 http://henrryd6.blog24.fc2.com/

49.再出発日記 http://plaza.rakuten.co.jp/KUMA050422/

50.9条を世界に http://protect.9jou.info/

51.ファンキーブラボーな独り言 http://funkybravo.blog88.fc2.com/

52.ろくすけの手帳 http://blog.livedoor.jp/roku2005/

53.ぶうりんの希望の種まき新聞 http://blog.goo.ne.jp/boo0102_2005

54.ヘーゲル主義者の株日記 http://blogs.dion.ne.jp/phaenomenologie/

55.謙遜と謙譲の音楽 http://ch10670.kitaguni.tv/

56.PAGES D'ECRITURE http://ameblo.jp/cm23671881

57.嶋1971☆たしかな野党を応援し続ける勇気を! http://shima-spirits-jcp.cocolog-nifty.com/taiki/

58.風太郎の労働相談奮闘記 http://blogs.yahoo.co.jp/huchisokun

59.第7官界彷徨 http://plaza.rakuten.co.jp/articlenine/

60.「心の健康・社会の病い」 http://white.ap.teacup.com/nakayosi/

61.クリームな日々 http://plaza.rakuten.co.jp/cream3/

62.Be the Change http://plaza.rakuten.co.jp/bethechange/

63.ペット喜怒哀楽 http://plaza.rakuten.co.jp/pombo/

64.Happy Smile http://plaza.rakuten.co.jp/milkstyle/

65.広島瀬戸内新聞ブログ版 http://blogs.yahoo.co.jp/hiroseto2004/

66.ひまじんさろん http://plaza.rakuten.co.jp/msk222/

67.映画と出会う・世界が変わる http://plaza.rakuten.co.jp/cinemaopensaloon/

68.博士号取得大作戦! http://ameblo.jp/flowering/

69.練金術勝手連 http://blog.goo.ne.jp/nerikinjyutu/

70.「美しい国」幻想を捨てよう http://acomalu.blog100.fc2.com/

71.【くう特捜部】ログ http://blog.livedoor.jp/ku_u0/archives/54342608.html

72.vanacoralの日記 http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/

73.Some Kind of Wonderful http://jesus.9.dtiblog.com/

74.Dendrodium http://dendrodium.blog15.fc2.com/

75.Saudadeな日々 http://hartwarmingclub.seesaa.net/

76.改憲手続法案について http://m-st-jp.com/~free/users/ganbaru/

77.ダイアスパー http://daiaspar.seesaa.net/

78.憲法問題とキリスト教会 http://mtsept.jugem.jp/

79.教育基本法を読み学ぶ市民の会 in 滋賀 http://blog.so-net.ne.jp/kyoikushiminnokai_in_shiga/

80.自由教育が世界を変える http://kinokuni-daisuki.cocolog-nifty.com/

81.菅井良・日記 http://d.hatena.ne.jp/nobtotte/

82.ブナの森とふくろう http://blog.so-net.ne.jp/tamara06/

83.権力に迎合したマスコミ人を忘れるな! http://panta.tea-nifty.com/blog/

84.そいつは帽子だ! http://teagon.seesaa.net/

85.安倍は戦争を起こす http://ameblo.jp/wayakucha/

86.コロンブスの卵を産む http://blogs.yahoo.co.jp/hatukome6hana

                                                        以上

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2007年5月25日 (金)

批判精神の健在が一国の活力を生む

以下の記事は日本の大手マスコミの現状を痛烈に批判した記事です。昨日の「ProZ」という投稿記事で紹介した色川大吉氏の、「日本人の大半が溺愛しているあの甘いメロディとお涙ちょうだいの精神風土」の住人の代表が、日本大手マスコミのサラリーマン記者であることを如実に示した記事だと言えそうです。しかし、「みんなで渡れば怖くない」という日本の大手マスコミが陥っている精神構造から脱している、大西哲光氏や中本三千代氏のような人物もいるのだと知って嬉しくなりました。

『財界にっぽん』2007年5月号

[遠メガネで見た時代の曲がり角] 連載第6回



批判精神の健在が一国の活力を生む

藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト)在米

 犬が人間を噛んでも大したニュースではないが、人間が犬に食いつけばそのニュースに人は注目する。政治のルールを無視した小泉政治のやり方は、余りにも軌道を逸した慣例無視が強烈だったために、人間が犬に食いついたのに似た印象が強く、小泉劇場はサプライズが売り物の異常性に満ちたものだった。

 だから、『小泉純一郎と日本の病理』という本を書いた時に、私は心理学的な歪みと異常性についての分析を試みたのだが、その記述部分は出版に際して削られたので、日本語版は診断のないカルテみたいになった。そこで英語版の「Japan’s Zombie Politics」では診断部を復活させたが、ロカビリー狂の小泉が訪米に便乗して、大統領専用機に乗りメンフィスのプレスリーの家を訪れ、税金を使った漫遊旅行と出版時が重なっていた。

 小泉がグレースランドで演じた狂態については、『ワシントン・ポスト」のピーター・ベーカー記者や『ニューヨークタイムス』のモーリン・ドウド記者が筆をそろえて、2006年6月1日付けで嘲笑の記事を書いている。だが、辛辣だったのはロンドンの『タイムス』であり、リチャード・ロイドペリー東京支局長が「メンフィスでの狂態の意味」と題して、日本の首相の恥晒しについて全世界に報道した。

 1995年以来リチャードは東京に駐在しているが、アジア事情に精通した彼は一年前にインドネシアの政治に関し、『In the Time of Madness』という本を出したので、小泉の狂態をマットネスという言葉で形容したのだろう。日本の新聞記者をいくら見渡しても、小泉政治のインチキさと異常性について、これだけズバリ指摘したものは見当たらない。

 日本人記者に迫力がないのは自己規制のせいだが、それに較べて興味深いのは東京駐在の特派員を始め、外国のメディアで働く日系記者の活躍である。おそらく世界に通用するレベルでの仕事をするために、日本的な「タコツボ」発想に支配されないで、近代社会が要請する「是々非々」を明白にして、はっきり記事を書く記者が多いせいである。

 もっとも中には日本病に感染して骨抜きになり、ぷら下かり記事を東京発で得意に書きまくる、『フィナンシャル・タイムス(FT)」のグウタラ特派員もいるし、昔の『ロサンゼルス・タイムス」の東京支局長のように、日本の政治家の御用記者を務めた人物もいる。だから、有楽町の「日本外国特派員協会FCCJ」に行けば、一流から五流までの報道関係者だけでなく、諜報関係者や奇妙なブローカーに至るまで、世界各地から来た興味深い顔ぶれが並んでいて、今の東京は戦前の上海租界を彷佛とさせる。

 そんな昨今の東京で活躍している記者の中で、ズバリと歯切れのいい記事を書く日系記者として、世界の側から二人のジャーナリストが注目されている。最初の一人は『ニューヨークタイムス』のオオニシ・ノリミツ(大西哲光)支局長であり、リベラリズムと民主主義を信条にしてペンを執り、日本の右翼や国家主義について遠慮なく論評するので、国粋主義者たちから目の敵のように扱われている。

 幼時にモントリオールに移住したのでカナダ入の彼は、プリンストン大学時代に学生新聞の編集長として活躍し、アフリカやモスレム圏での取材体験を誇っている。だから、北朝鮮問題で異常な興奮に支配される日本人に対し、「右翼が北朝鮮の拉致問題で憎悪を煽っている」と指摘して、2006年12月17日号に強烈な記事を書いた。また、オオニシ記者は黒幕的存在の「日本会議」まで取り上げたので、突き放した筆致を誇る彼に反発する国粋主義者たちは、安倍晋三と同じ幼稚で露骨な敵対感情を剥き出しにする。

 「拉致問題にこだわり六カ国協議に参加する資格がない」と言われ、北朝鮮にバカにされている安倍内閣の外交感覚の醜態は、感情論しかないと世界に丸見えである。だが、オオニシ記者のようにそれをズバリ指摘すると、反日論者として右翼から総攻撃されるので、日本のメディアは口をつぐみ何も書かないでいる。

 それにしても、統一教会の合同結婚式の罠にはまって妻になり、韓国に移住した数千人の日本人女性の実態が、ソフトな形の拉致の一種かも知れないのに、安倍晋三は統一教会に祝電を送ったのだし、安倍内閣は統一教会に牛耳られたままだ。こういう狂った現実をはっきり指摘すれば、オオニシ記者のように反日だと非難するが、右翼のいう愛国の愛は一体どこの国に向けたものかと、「木を見て森を見ない」偏狭さが情けなくなる。

 祖国を愛するがゆえに問題を改革するために、ジャーナリストは勇気を持って悪を告発するのであり、その典型が『日経新聞」の大塚将司記者だったが、鶴田社長の公器の私物化と独善を告発したので、懲戒解雇されるという報復をうけている。詳細は『日経新聞の黒い霧」(講談社)の記述にゆずるが、日本の新聞記者にも骨のある人が存在し、彼を側面から支援したのが元同僚の阿部重夫記者で、『選択」の編集長として鋭い論陣を展開した。

 それにしても、日本語の記事だけでは「コップの中の嵐」だが、『フィナンシャル・タイムス』の2003年4月10日号の全面を使って、それを世界に向けた改革の火の手に転化したのは、記者魂に溢れたFT東京支局の中本記者だった。この日の私は有楽町の「特派員クラブFCCJ」に出向いており、『日経」の元幹部とランチを一緒にしたので、この記事の内容について食卓の話題にしたのだが、この元日経記者も記事の鋭さを賞賛していた。

批判精神を持て
 最近の東京発のFT記事には駄作も目立つが、時どき執筆する中本三千代副編集長の記事は鋭く、安倍首相の凡庸な施政方針演説に対して、今年の1月27日付けの紙面で「失敗演説」と決め付けていた。彼女が注目される二人目の記者だが、権力に遠慮するだけでなく迫従してしまい、まともな批判をしなくなった日本のメディアの中で、「唇の寒さ」を感じさせない中本発言は爽快であった。

 大衆相手に商売をするテレビは仕方がないが、小泉政治が得意にしたタブラカシ路線に丸め込まれて、日本のメディアは全く骨抜き状態になってしまい、社会の木鐸として権力の横暴の監視を放棄して、新聞までがサブカルチャーの場に成り果てている。それは新聞社がテレビ局を系列支配しているので、金儲けで大衆に迎合する衆愚主義に毒されたために、「読者の知る権利」が雲散霧消して久しいのだ。

 長く続く不況で経済活動が低迷する中で、国民が自由の感覚を喪失して閉塞感に包まれると、幻想の中に一時的な陶酔感を求める形で、ロマン主義が台頭すると歴史は教えているが、今こそ批判精神を湛えたリアリズムが重要だ。サラリーマン記者でなくジャーナリストとして生きるなら、権力や組織に左顧右眄しないでペンを執ると共に、言論活動を天職にする人間にとっての批判精神は、何ごとにも代えられない最大の資産である。

 病人を病気だと診断しない医者はヤブ医者であり、政治の歪みや狂いを指摘するには批判精神が要るし、それをジャーナリストが持ち合わせなくなれば、医者のいないハコモノ病院の乱立と同じことになる。自分の言葉を語れない政治家でも首相になる時代でも、ジャーナリストには自分の言葉を背くことが求められており、社会に活力を与える言論が衰退するならば、「言論死して国ついに滅ぶ」に繋がってしまう。

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2007年5月23日 (水)

驚異的な戦争のコストとルナティックな政治事

以下の記事は、今朝配信された田中宇氏の「田中宇の国際ニュース解説」を並行して読み進めると良いかもしれません。その上で、時間的な余裕があれば木村汎教授の著書や藤原肇氏との対談本『賢く生きる』(清流出版)の一読をお勧めします。
★エネルギー覇権を強めるロシア

『財界にっぽん』2006年4月号

[遠メガネで見た時代の曲がり角] 連載第5回



驚異的な戦争のコストとルナティックな政治事

藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト)在米



 1月17日は不吉な事件の勃発に結びつくことが多い。ロスの郊外ノースリッジを襲った地震は1994年で、翌年の同じ日に阪神大震災が起きた。また、1991の1月17日には湾岸戦争が空爆により開始したが、地質を専門にしてきた私の目で見れば、一月の半ばは満月の時期と密着しているので、これは月の引力と結びついているのである。

 月の引力が最大になると地球の潮汐現象として、岩石では地殼の歪みが大きくなって地震が起きやすいし、海水が盛り上がって満潮が高潮に結びつくので、昔から海戦による奇襲作戦は満月の夜を選んでいた。また、人間の脳の中も液体で構成されているので、満月の夜は頭が異常に働くことが多いために、殺人事件や交通事故が多発することから、狂気のことをルナティック(精神の異常性)と昔から言い習わしてきた。

 明治時代に一世を風靡した『金色夜叉」の舞台も、1月17日に熱海の海岸であった出来事が見せ場であり、ダイヤモンドに魅せられカネに目のくらんだお宮に、貫一が「今月今夜のこの月を涙で…」と啖呵を切る物語だ。そんなわけで地震がなければいいと思いながら、不安な気分で1月17日の『ニューヨーク・タイムス』を開いたら、大地震や開戦の記事がなかったのでほっとしたが、その代わりにショッキングな数字が並んでいた。

 それは「1兆2000億ドル(150兆円)で何が買えるのか」と題した記事で、レオンハルト記者が計算したイラク戦争の費用がこの数字であり、150兆円は阪神大震災の被害総額の20倍ちかいものだ。偉大な大自然が引き起こした災害に比べて、卑小といえる人間の手で拡大した戦禍の方が、遥かに巨大な物質的な災害を生んでいる事実は、どのように理解したら良いかと途方に暮れる思いに包まれ、「これは別種のルナティックだな」と溜息した。

 暫くレオンハルト記者の記事に従うことにするが、「5年前に戦争が始まる前の段階では、ペンタゴンは戦争のコストを500億ドル(6兆円)と見積もっていた。下院の民主党のスタッフもそれに合意していた。ホワイトハウスのリンゼイ経済顧問はより現実的に、コストを2000億ドル(24兆円)と見積もったので、ブッシュ大統領によってクビを切られている」とあり、続いて「もし、戦争が順調でも予算は少なく見積るもので、歴史を通じて楽天的なのは世の常である」として識者の意見を引用している。

 そして、ハーバード大学のケネディ政治学院のビルメス先生と、ノーベル賞を貰いクリントン政権の顧問だったスティグリッツ先生も、イラク戦争の全費用を2兆ドルと予想したと紹介している。また、それはイラク復興費を含めた戦費であり、一日あたり3億ドル以上を費やしているという、ワシントンの経済学者ウォールセンの試算と同じで、天文学的な出費が果てしなく続くと強調している。

 双子の赤字に悩む米国は経済的に破綻寸前であり、世界一の債務国の米国は貿易赤字と財政赤字のために、誇れるものは軍事力だけだという状態だ。しかも、経済が未だ破綻していないのは不動産バブルと共に、戦争による需要景気があるためだと言われており、戦争を止めるとたちまち景気は雲散霧消してしまうのだ。

 日銀が発表した2005年末の各国の試算状況の統計だと、最も大きな対外資産を持つのは米国であるが、1030兆円の対外資産に対して債務は1303兆円で、差し引き265兆円のマイナスになり、加えて2000兆円余りの財政赤字まであるという。同じ統計で日本の数字を比較してみれば、506兆円の対外資産に対して債務は326兆円で、差し引き180兆円兆のプラスになるために、一見する限りでは金持ちに見えるが、対外資産の四割の200兆円は米国債であり、換金が不能になれば紙切れ同然になり果てる。また、中央や地方政府の借金はー000兆円を超え、借金の山に押し潰されかけているのであり、日本全体が破産した夕張市に似たようなものだし、米国もアメリカ大陸版のタ張市に他ならない。

 しかも、戦争は火災が燃え上がる地獄と同じように、エネルギー多消費型で環境を汚染して、生命も物質も殺裁と破壊している点では、地上に出現したこの世の地獄のバリエーションだ。こういったことを考えながらイラク戦争を見れば、日本人はイラク派兵で戦争に協力をしている以上は、人類の生存条件を損なっている当事者だし、イラク戦争を対岸の火事のように考えているなら、満月の晩に何が天罰として起こるか分からない。

 アフガン戦争は911事件を契機にしていたが、この事件から一カ月後もしない10月7日に空爆が始まったのは、事前に戦争準備が整っていたからだ。現にロシアから独立したムスレム諸国に進出した米軍は、アフガンの北に軍事基地を持っていて、1997年のカザフスタンに続いて翌年はウズベクスタンで、特殊部隊による合同軍事演習を行っている。

 『小泉純一郎と日本の病理」の第7章に書いたことだが、それはユノカルの天然ガス・パイプライン建設計画が関係していて、アフガン経由の石油権益が戦争と絡んでおり、軍事基地をアフガンの周辺に配置したのだ。米国のイラク侵略の背景に石油資源が関係し、石油権益のあるところに米軍が進出する以上は、[大量破壊兵器の存在]は単なる口実に過ぎなかった。

 現にアフガン侵略の直前に18ドルだった原油は、空爆と共に上昇して37ドルになったし、一息ついて2003年初めに28ドルに戻ったが、3月20日にイラン侵略すると再び上昇し始め、2006年の夏に80ドルに達した後で、現在は50ドル台の水準に戻っている。原油価格の高騰によって米国の赤字は増大し、航空券もエネルギー費が何割も加算されるし、燃料コストの高騰がインフレに結びつき、株価指数の上昇が好況の幻影を生んでいる。

 原油と天然ガスの高騰によって潤ったのは、米国が仮想敵国と考えるムスリム圏の産油国とロシアである。そのことはロシアの専門家として知られた、木村汎拓殖大学教授とロシア問題について対談した時に、私は非常に興味深い情報を耳にしている。それは「石油の世紀から天然ガス主役に」と題した対談で、『賢く生きる』(清流出版)の中に収録してある。また、この本には岡田充共同通信論説委員と試みた、「アフガン戦争で始まった21世紀のアジア情勢の展望」という記事もあるので、本稿で言い尽くせなかった部分はそちらを参照されたい。

 木村先生の興味深い発言は次のようなもので、対談した時の原油価格は30ドル余りだったが、展望として蘊蓄に富む指摘を含んでいた。

 「エリツィンやプーチンが大統領になる以前の段階では、ロシア人にとり外交上の切り札は核兵器であり、ハードな兵器が国際政治の取引材料であった。ところが、2001年9月11日以降は、アフガンやイラクの戦争のせいで、原油と天然ガスの価格が高騰した。

 最初はーバーレル当たり18・5ドルで予算を組んでいたが、石油価格がードル上がるたびに原油大国のロシアには、2000億円の増収が転がり込んでくる。だから、石油が30ドル、35ドルと高騰するにつれてボロ儲けになり、最近ではクドリン財務大臣が、石油価格が28ドルなら、ロシアの経済は心配ない、と至って強気な姿勢を示している」。ブッシュは取り巻きのネオコンやロビイストに煽られて、米国にとっての仮想敵国に「神風」を提供したのであり、これを「ルナティックな政治」と呼ぶのではないか。

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2007年5月22日 (火)

安倍内閣の世にもお粗末な首相補佐官人事

[遠メガネで見た時代の曲がり角]連載第4回は、安倍内閣の首相補佐官人事は単なる客寄せパンダ人事に過ぎなかったことをズバリ指摘した記事です。

『財界にっぽん』2006年3月号

[遠メガネで見た時代の曲がり角] 連載第4回



安倍内閣の世にもお粗末な首相補佐官人事

藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト)在米


 総花的で実力のない安倍内閣が登場した時に、論功行賞を期待した代議士たちを満足させようと、安倍晋三がメディア向けの目玉に使ったのが、子供騙しに等しい首相補佐官人事だった。閣僚の数は法律で決まっているので、物欲しげな政治家を喜ばせるために、「令外の官」で権限のない肩書きをばら撒けば、総裁選挙の投票の御祝儀代わりだと直ぐ判る。経験豊かな民間や学界の実力者を厳選して、首相補佐官に任命するのが本筋であるが、小池百合子(安全保障担当・衆)、根本匠(経済財政担当・衆)、中山恭子(拉致担当・民間)、山谷えり子(教育担当・参)、世耕弘成(広報担当・参)など、見識や経験も平凡な国会議員が圧倒的だから、人気稼ぎのパンダ人事だと一目で判る。だから、「五人組の安倍レンジャー」とか「お友達補佐官」と名づけて、日本のマスコミの多くはお茶を濁していたが、外国のメディアは厳しい目で眺めており、特に韓国の新聞は辛辣な批判をしていた。

 『朝鮮日報』は「右派の側近で固められた安倍内閣」と題し、組閣発表の翌日の記事で補佐官について論じ、中山補佐官に関しては「2002年に内閣官房の幹部として北朝鮮による拉致問題を担当し、強硬な主張を繰り広げてきた安倍氏の側近だ。北朝鮮側との約束を守るべきだと主張した外務省内のハト派を抑え、日本に一時帰国した拉致被害者5人を北朝鮮に戻さないという決断をした」と論評。また、教育再生担当補佐官の山谷えり子氏(56)は「カトリック信徒でありながら、首相の靖国神社参拝を求める運動で主導的な立場にある。ジェンダーフリー教育や夫婦別姓などにも反対し、安倍首相が率いてきた自民党内のプロジェクトチームで事務局長を務めてきた。安倍首相の教育哲学を忠実に代弁する人物と評価されている」とズバリ切り込んでいた。

 興味深いのは国家安全保障担当の補佐官についてであり、「小池百合子前環境相(54)は、05年9月の衆議院総選挙で小泉首相(当時)の〔刺客〕第1号として〔小泉旋風〕を巻き起こし、自民党を圧勝に導いた。極右といわれる中川昭一政調会長(53)が率いる〔歴史教科書問題を考える会〕の一員にもなっている。その経歴は安全保障分野とはほとんど関係ないが、[サプライズ人事]で内閣への国民・世論の関心を引きつける効果が予想されている」と論じて日本の新聞が書けない内情を指摘していた。

 小池補佐官の経歴は安全保障とは無縁であり、せいぜい英語とアラブ語が喋れるというだけで、通訳のセンス程度しか持ち合わせないことは、彼女の過去と能力を知る私が迷わずに断言する。彼女の父親は勝共連合の支援で衆院選に出たが、落選後に借金でカイロに 夜逃げして日本料理屋をやる傍ら、石油利権のブローカーとしても悪名が高く、その関係で彼女がカイロ大文学部に学んだことは、「小泉純一郎と日本の病理」の中に書いておいた。

 竹村健一の「世相ナントカ」というテレビ番組に招かれて、25年ほど昔の私は帰国の度に何回か出演したが、小池百合子は番組のホステス役をしており、番組前のコーヒーの接待を受けて何度か雑談をした。アズハリ大はイスラム神学の最高学府であり、話のついでに「小池さんはアズハリ大学に行ったそうですね」とカマをかけたら、「藤原さんは何で中東のことにお詳しいのですか」と唖然としていたのを思い出す。

 だが、アラブ世界においては情報に疎ければ、石油コンサルタントとしての仕事は出来ないし、冴えたインテリジェンス能力が唯一の財産だ。また、人間の情報感覚は若い頃の修行と訓練が決め手であり、洞察力や情報力は一朝一夕に身につかないし、地位や肩書きなどは全く無関係なものなのである。

 小池さんに初めて会ったのは四半世紀も前だが、その後タレント議員から大臣に出世しても、彼女の才能はアラブ語と英語を喋る程度で、『朝鮮日報」が喝破した通り「人寄せパンダ」に過ぎない。また、レバノン人やスイス人なら数ケ国語を操るが、外国語と接待役が上手だというメリットだけで、一国の首相補佐官が務まると彼らが聞けば、目を丸くして「それなら自分も」と思うのではないか。日本での首相補佐官の人選が実にいい加減なのは、政党の選挙対策部長か官邸の広報官レベルなのに、新人議員の世耕弘成がNTTの報道課長だったので、広報担当の首相補佐官に任命されてお笑い草だ。

 補佐官の乱発は小泉政権時代にも問題になっており、落選中の山崎拓議員の失業救済のために、鉄面皮にも首相補佐官に任命されている。セックス・スキャンダルで選挙民の信任を喪失したために、国会議員の資格がないと判定された男が、小泉のヒキで首相補佐官に抜擢されたということは、日本の憲政史にとって大汚点であった。

 首相補佐官の制度は細川首相が1996年の時点で、アメリカの大統領補佐官を真似て導入したが、事務次官と同じ給与の特別公務員なのに、人材難で大部分が国会議員や幹部官僚が就任した。しかも、組織として有能なスタッフも揃えていないし、実力競争を通じた指導性を問われることもなく、職務権限や責任がないヌエ的な存在として、議会制度に不整合のまま権力の周辺にいるだけで、日本の補佐官制度はお粗末の極みである。

 特別補佐官の真の役割は何かを検討すると、米国の大統領補佐官が担当している職務と責任は、安全保障と外交政策の立案と実施に関与して、大統領直属の国家安全保障会議National Security Council(NSC)を主催している。しかも、この諮問会議に参加する正式メンバーの顔ぶれは、正・副大統領、国務長官、国防会議議長、安全保障担当補佐官(NSC議長)であり、CIA長官も必要に応じて参加するほどの権威を持つ。しかも、NSC事務局長の下には120人の専門スタッフがいて、調査と分析のプロとして仕事を担当するが、日本の補佐官は法的権限や責任は何もなく、首相の茶飲み相手に毛が生えたような存在だ。

 韓国における大統領補佐官の場合は、大統領が議長を勤める国家安全保障会議(NSC)の下に、国務総理、青瓦台秘書室長、国家安全保障補佐官(NSC事務部長)がいて、トップに位置する三人の幹部の一人でもある。また、彼の下には外交補佐官、国防補佐官、NSC事務次長がいるという具合に、組織系統が機能するようになっているし、外国人から尊敬されるだけの人材を配置している。おそらく、パキスタンを始め北朝鮮やエジプトの場合でも、大統領や首相の補佐官の実力と役割は、日本の実態より遥かに充実しているはずで、国策遂行の機能を果たしていると思われる。

 「日本のNSCの確立」を標携して賑やかに登場したが、安倍首相自身が主要閣僚の経験もなく人気だけで選ばれたので、指導性に関しても大いに疑問視されている。

 更に、構想力は地位について習得するものではないが、日本の場合は補佐官の役割分担が曖昧だし、「適材適所」の原則が踏みにじられている上に、忠誠度による好き嫌いに支配されている。

 しかも、首相補佐官の肩書きは名目だけであり、首相や閣僚の代理メッセンジャーとして、外国に出張する程度で閣議には出られない。

 だから、首相補佐官という肩書きと職制はいかめしいが、「親衛隊ならぬ突撃隊」のレベルの顔見世として、首相の気紛れに国策が弄ばれてしまうことにより、制度が日本ではサブカルチャー化するのである。

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2007年5月21日 (月)

政治の暴走を防ぐ言論界の役割と平衡感覚の価値

社会の木鐸としてのジャーナリズム精神を、日本のマスコミが失ったと叫ばれるようになってから久しく、同様の傾向は9・11以降のアメリカのマスコミにもありました。しかし、以下の記事に見られるようにアメリカのマスコミも「目覚め」つつあるようで、次は日本のマスコミにも「目覚め」て欲しいと期待したいところですが、果たして…?

『財界にっぽん』2006年2月号

[遠メガネで見た時代の曲がり角] 連載第3回



政治の暴走を防ぐ言論界の役割と平衡感覚の価値

藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト)在米


言論の威力によるラムズフェルトの更迭

 中間選挙で共和党が上下両院でマジョリティを失い、ブッシュ大統領は大敗北に終わった結果に対して、「失望している。責任の大部分は共和党を率いる自分にある」と認めた。そして、イラク侵略と復興作戦においてヘマの連続で、惨敗選挙の原因を作ったラムズフェルト国防長官を更迭した。だが、更迭自体は「辞任を認めた」というすり替え論理だったが、更迭せざるを得ない状況が選挙直前に起きていた。

 それは投票日の前日に発表される予定の社説が、四日前の11月3日にメディアに公表され、全米に報道されて津波現象を誘発していた。その社説の最後の数行は印象的であり、米軍のイラク占拠政策の破綻を論じてから、「・・・これは中間選挙などではない。11月7日にいずれの党が勝つにしても、大統領は厳正に照らし出された真実に、直面しなければならない時に至っている。ドナルド・ラムズフェルドは去らなければならない」。この社説は投票前日の11月6日に発売になる『陸軍タイムス』を始め、『海軍タイムス』『空軍タイムス』『海兵隊タイムス』に掲載されている。

 『陸軍タイムス』を始め軍人と家族を読者にした各紙は、国防総省や軍関係が発行する新聞ではなくて、ガネット・グループという民間のメディアの刊行物だ。また、ガネットは全国紙の『USAトゥディ』を始め全米で100紙の日刊紙や、ラジオ局やテレビ局を幾つも経営するだけでなく、英国やドイツでも新聞や雑誌を出している。だから、日本の大新聞と経営スタイルは大差なく、オピニオンとして発表した社説の威力が、支離滅裂な政治と誤魔化しによる情報の歪みに対して、言論として効果的に機能を発揮したと言える。

 11月3日から4日にかけてCNNやCNBCを始め、大手メディアやそのホームページが情報を流したので、その影響で5日の「ニューヨーク タイムス」の社説は、「ブッシュ政権で議会を主導してきた多数派の仕事ぶりは酷かった」と決め付け、中間選挙では共和党候補者をいっさい支持しないと断言した。投票直前に盛り上がった報道界の批判の声は、それまで鬱積していた閉塞感に対して、アメリカ人の反発が炸裂したと観察できた。

民主主義の基盤としての報道の自由

言論界の役割は国民に事実を報道すると共に、政治家や役人など公人の動きを注視して、政治による権力の乱用を監視する点にあり、それが言論活動を「社会の木鐸」と呼ぶ理由でもある。選挙や試験による選択を経た政治家や官僚と違って、言論活動は誰にも開かれた場であるので、発言の正統性は市民からの信頼と支持に担保される。だから、市民の側に軸足を置かないメディアは、ジャーナリズムの範疇に入らないのは当然なのだ。

 米国では憲法の修正第一条が「表現・報道の自由」であり、何にも増して重要な権利だと認められているし、報道の自由は民主主義の基盤であると考えて、公権力が機能する上での絶対条件だとされている。司法、立法、行政は相互牽制で鼎立するが、この公権力を監視する役目を持つ報道界が、第四の権力と呼ばれるのは監視能力に由来している。

 だが、政治的に後進国の日本では議会が脆弱で、国会議員が法律を作れないだけでなく、法案を討議する能力や手続きが欠けており、行政府が立法と司法を支配しているために、民主主義も議会主義も機能していない。ドイツの憲法を「ドイツ連邦基本法」と呼ぶが、基本法が憲法に準じるものだと理解せ