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2012年4月

2012年4月29日 (日)

『金融ワンワールド』

Totoro_2 15年ぶりという落合完爾著『金融ワンワールド』(成甲書房)を一気に読み終え、脳裏に浮かんだのが左のパズルである。ご存じの方が多いと思うが、宮崎駿監督のアニメ映画「となりのトトロ」だ。無数ともいえるピースで完成させた縦79cm×横54cmの大パズルであり、今でも完成品を拙宅の茶の間に飾ってある。宮崎駿氏はトトロの森に近い所沢在住であるが、同パズルは以前同市に住み、現在は沖縄で生活する弟嫁からのプレゼントであった。落合さんがワンワールドという、今までに誰も知らなかった世界を研究している姿と、多数のピースを当てはめて一つの絵に完成させようと、取り組んでいた沖縄の弟嫁や姪の姿が重なって見えたので、落合さんには失礼を承知の上で比較させて戴いた次第である。

B120429 ともあれ、「となりのトトロ」ならぬ「ワンワールド」という、途方もないパズルの完成を目指して、落合さんが取り組んでいる様子が本当に良く分かった『金融ワンワールド』を一読して、改めて筆者自身も同じく「ワンワールド」というパスワードの完成を目指しているパズル狂の一人だと気付かされた。しかし、同じパズル狂であっても、かなりの部分を完成させた落合さんと異なり、筆者の場合は生涯取り組んだとしても、果たして完成するかどうかという状態だったのだ。しかし、落合さんの新著が発行されたお陰で、ここへきて多数のピースが一気に埋まった感があり、大変感謝している次第である。ただ、同じワンワールドというパズルの完成目指すパズル狂同士と書くのは、正直言って躊躇する。なぜなら、『みち』の4月15日号の巻頭言で天童竺丸氏が述べているように、本来の落合氏は「ゆくゆくは野村證券の社長に予定されていた」ほどの人物であり、小生のような一介の翻訳者では逆立ちしても敵わぬ、凄い経験や人脈の持ち主だからだ。それを惜しげも無く、『金融ワンワールド』という形で公開してくれた落合さんに、この機会に感謝の意を表しておきたい。

■ 落合莞爾全集に向けて
『みち』の4月15日号の巻頭言で天童氏が、「本書(『金融ワンワールド』)はこれから展開されるであろう落合莞爾著作集の総論に相当する著作なのである」と述べている通り、今日までの落合研究の成果がぎっしり詰まっている本なので、大凡を理解しようとするだけでも大変なスルメ本だと思う。その一端を以下に羅列するが、近く新しい掲示板をサムライが管理人の一人として立ち上げる予定なので、『金融ワンワールド』に目を通した大勢の読者に、色々と投稿して戴ければ大変有り難い。

以下、『金融ワンワールド』で印象に残った箇所である(青色は『金融ワンワールド』からの引用、→以下の黒色の記述は小生)。

・初めて大本教とフリーメーソンの対立を解説した書(p.68)
→その通りだと思う。筆者もまだまだ大本教の全容を掴んでいるわけではなく、その意味で今後も『みち』や『月刊日本』での大本教に関する投稿に注目していきたい。『月刊日本』だが、三浦小太郎が「近代の闇 闇の近代」で取り上げている大本教論に注目したい。また、今年の二月にお会いした栗原茂氏が、「大江山霊媒衆→大本教→東西本願寺→皇室」という流れを教えてくれたことがあるのを思い出す。

箕造りたちにサンクァという自らの呼称を冠せたパワー・エリート衆の目的は何であったか。それは、政治家・銀行家・高級官僚・実業家・学者として日本社会の表層に顕れ始めた自分たちの出自を隠すためではないか、と思われます。(p.124)
→サンカの研究に関しては過去における落合さんの研究は優れており、上記のサンカ説も傾聴に値する。

・ワンワールドの中核を成すものの正体は、太古メソポタミアで、シュメルの南岸潟部にいた族種。自称を持たない族種なので、真相を知る人は「ヴェネツィア・コスモポリタンに」と読んでいますが、これは秘史に属し、これまで明言した者はいないようです。(p.83)
→ヴェネツィアに関しては、天童竺丸氏の『悪の遺産ヴェネツィア』を推薦したい。拙ブログでも取り上げたので以下を参照のこと。
http://pro.cocolog-tcom.com/edu/2012/03/post-091b.html

・ようやく到達した(以下の)表ですが、まだ完成品ではありません。なぜなら、本来のユダヤ人とされてきた人種の驚くべき正体が判明したからです(p.086) 
→以下の表は、従来のユダヤ観を覆してくれるのではないだろうか…。

Oneworld01

・「明治天皇=東京皇室」と「堀川天皇=京都皇統」が誕生した)(p.83)
→近い将来、落合莞爾全集の中に組み込まれるものと思うが、関心のある方は『月刊日本』および『ニューリーダー』の落合記事を参照。両誌に長年目を通している読者であれば、『金融ワンワールド』のp.83にある「日本天皇が太古にシュメルから渡来したことは、欧州王室の夙に知るところでした」もスンナリ読めるはずである。

・日本民族の三大源流
■縄文人
(1)土着アイヌ人
(2)先住海人族「ヘイ」
(3)渡来シュメル族「タチバナ」

■弥生人
(1)縄文末期に渡来した古イスラエル北王国十支族(海部・物部・秦)
(2)海部氏が率いてきた倭族

■古墳人
(1)崇神天皇以後の渡来系騎馬民族
(2)応神天皇に秦氏が朝鮮半島から呼び寄せたツングース系人
(p.110)

→栗原茂氏が「アイヌが日本に土着する以前から天皇家の遠祖が居り、アイヌを支援したのでアイヌは恩義を感じて天皇家のために尽くした」という話、および栗本慎一郎氏の著した『シルクロードの経済人類学』、特に青森県の三内丸山遺跡が脳裏にあるので、上記の「三大源流」と照らし合わせてみて、今後の研究課題にしたい。

・ゼロ金利は、ヴェネツィア・コスモポリタンが、経済社会の位相(Phase)の変化を感じ取って採用したものと私は考えます。決して喜んでしたわけではないが、萬やむを得ず採用したのです。(p.198)
→先日、優れたエコノミストから直接お話を伺う機会があっただけに、このあたりは正に同感である。

・今思えば赤面の至りです。私は、経済社会の金融史的な位相(Phase)が、完全に転換していたことに気がつかなかったのです。(p.212)
→冒頭で紹介した、「ゆくゆくは野村證券の社長に予定されていた」ほどの落合さんの言葉だけに、一層同氏の誠実さを感じさせる行であった。同書の中で最も感銘を受けた箇所だったことをここに告白しておこう。

・私は、SDIには公表されない本当の「スターウォーズ作戦」があったと観ています。すなわちHAARP計画です。地球社会を根本からコントロールしているのは、このような巨大な計画なのです。(p.257)
→その通りだと思う。我々の想像以上にHAARP計画は進んでいるのが実態だ。過日の311にしても人工地震だという噂が絶えないが、仮にそうであったとしてもアラスカのガコナハープが、あのような拙く悲惨な地震を起こすようなことするはずがないことは、ガコナハープを日本で最もよく知る識者から直接確認している。

・本稿(『金融ワンワールド』)は、世界でも日本でも、金融ワンワールドと軍事ワンワールドの競合により大局が生じているという観点に立ち、金融ワンワールドの核心がユダヤではなくヴェネツィア・ワンワールドであることを明らかにし、その文派が日本にもいることを示しました。
 日本では天孫騎馬民族と海洋民族という「日本在住ワンワールド」が競合しながら歴史を形成しましたが、地政学上のリムランド(縁辺地域)に属する日本が、世界経済に雄飛しえたのは、実にその競合がうまく働き、秩序を誇る倭人族の勤勉と相まった結果というのが本稿の結論です。
 今後も、日本民族が三大源流の合作競合により発展するとの自信をもって当たれば、現下の経済的難局も切り抜けることが出来ると考えています。
(p.260)
→心強い結論(宣言)であると思う。

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2012年4月16日 (月)

『瀬島龍三と宅見勝「てんのうはん」の守り人』

B120416 『瀬島龍三と宅見勝「てんのうはん」の守り人』を著した鬼塚英昭氏に対する第一印象としては、他のジャーナリストやライターは腰が引けて書くことも出来ない内容、すなわち「住友銀行…佐藤茂…宅見勝…平和相互銀行事件…イトマン事件…住友グループ襲撃事件の一連の利権構造」を堂々と書いているあたり、肝の据わった人物だと思う。

しかし、残念ながら同氏がヤクザに関して拠り所としていたのは、二次資料に相当する書籍や新聞雑誌のみであり、直に石井進、宅見勝、司忍、後藤忠政といった大物と接触しての取材は皆無であることが分かる。そうした大物から命がけで取材を敢行し、危うく命を落としかねない体験も多い、栗原茂という人物を小生は知っているだけに、鬼塚氏のヤクザに関する筆に迫力が感じられないのだが、これはやむを得ないことかもしれない。

それは兎も角、何よりも気になったのは、鬼塚氏は山口組などのダーティな部分のみしか描いておらず、たとえば昨年の東北沖大震災で大勢の東北の人たちのために動いた後藤組の活躍など、彼らの持つ任侠という一面に一切触れていないあたりに、鬼塚氏の正体を見たような気がする。
http://pro.cocolog-tcom.com/edu/2011/04/post-219c.html

また、孝明天皇は伊藤博文に暗殺されたという噂は、故鹿島昇氏の『裏切られた三人の天皇 明治維新の謎』が噂の出所となっており、ネットでの孝明天皇暗殺説もほとんどが同書に由来していると云っても過言ではない。当然ながら、鬼塚氏も鹿島昇天皇観から一歩も出ていない。小生も長い間にわたって鹿島昇天皇観に囚われていたが、それを打ち破いてくれたのが落合莞爾氏であった。ともあれ、孝明天皇暗殺などと根本から間違えているため、鬼塚氏の田布施に関する記述についても眉唾物であると云わざるを得ない。

さらに、先帝(昭和天皇)と瀬島龍三に対して、鬼塚氏は良い印象を抱いていないことが分かる。これは、皇室インナーサークルの栗原茂氏とは全く逆の立場となり、先帝は我が命とすら信じていた栗原茂氏と、鬼塚氏との間に横たわる溝は途方も無く深い。果たして先帝(昭和天皇)の実像は如何なるものであったのか…。今後も鬼塚氏の今回の著作と鈴木正男の著した『昭和天皇のおほみうた』との間を彷徨う日が、当面は続きそうな気がする。『昭和天皇のおほみうた』については、以下を参照。
http://hyouhei03.blogzine.jp/tumuzikaze/2011/11/post_c07d.html

最後に、鬼塚氏は同書のp.143で以下のように書いている。

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「てんのうはん」に疑問を感じる人は、松重揚江の『二人で一人の明治天皇』を読むことをすすめる。『瀬島龍三と宅見勝「てんのうはん」の守り人』p.143
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この松重氏もフルベッキ写真に明治天皇や西郷隆盛が写っていると、盛んに世の中に吹聴している詐欺師であり、このような人物の本を「すすめる」ようでは駄目だ。

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