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2012年1月21日 (土)

『日本の宿痾』

B120121 一度だけお会いしたことのある角田儒郎氏が、『日本の宿痾 大東亜戦争敗因飲む研究』と題する、350ページ以上にも及ぶ浩瀚な新刊本を出版するということで、このたび数名の同志と共に同書の校正を引き受けた。本業(翻訳)の合間の校正だったとはいえ、予定日数を大分オーバーしてしまったのは、内容的に惹かれる個所が多い本だったからだ。なかでも印象に残ったのは以下の行である。

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わが国の滔々たる洋化の流れの中で急速な堕落に至らなかったのは、何よりもご皇室が健在だったということと、まだ官民ともに、武士道の高い精神が消えることなく残っていたからである。(p.330)
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これは幕末明治の近代日本について述べた行だが、『月刊日本』の執筆陣、とりわけ落合莞爾氏、山浦嘉久氏、佐藤優氏の三氏による寄稿、さらには皇室インナーサークルの栗原茂氏の話から皇室本来のお姿を知りえただけに、「何よりもご皇室が健在だった」という角田氏の言葉に大いに頷けるものがあった。

以下の仁徳天皇の御製…

高き屋に のぼりて見れば 煙(けぶり)立つ 民のかまどは にぎはひにけり

ここにこそ民を思うお気持ち(大御心)が表れており、これは昭和聖徳記念財団が今年発行した『昭和天皇御製カレンダー』の冒頭の御製「あらたまの年をむかへていやますは民をあはれむこころなりけり」、さらには東北御巡幸時の今上陛下の「津波来し時の岸辺は如何なりしと見下ろす海は青く静まる」と、根底で相通じていることは言うまでもない。

大御心と絡めて、角田氏はデモクラシー(民主主義)について以下のように述べている。

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デモクラシーの本義が「民意の尊重」にあるならば、それはまさにわが国の伝統だったのであり、何もいまさら欧米に教えを乞う必要などはなかったのである。(p.324)
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この民主主義なる制度は、はたして理想的な政治形態だったのか」(『日本の宿痾』p.322)と疑念を持った角田氏は、戦後の日本人が無条件に受け入れてきた民主主義の見直し作業を行い、ついには民主主義の正体を見抜いたのであり、それが上記の言葉となった。

ともあれ、敗戦後から半世紀以上もの時間が経過し、「もともとわが国には、百姓(おおみたから)を大切にするというご皇室の伝統があった」(『日本の宿痾』p.322)現実を忘れている人たちが多いことを鑑み、敢えて刊行前の角田氏の書籍を取り上げてみた。

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