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2011年1月10日 (月)

スポーツ報知宛て公開状

以下は、慶応大学の高橋信一先生が、スポーツ報知宛てに書いた公開状です。大勢の方々にサンメディアという会社の実態を知って戴きたく、本ブログでも掲載させて戴きます。なお、参考資料をPDFファイルにまとめましたので、以下よりダウンロードしてください。
「sunmedia.pdf」をダウンロード

ブログ【教育の原点を考える】管理人


 2010年12月17、18日のスポーツ報知における「フルベッキ写真」関連の記事と広告について考える。サンメディアという会社は「フルベッキ写真」だけでなく、「坂本龍馬」、「偽お龍さん」の写真を出典も明らかにしないで勝手に使って色付けして売り出している。報知新聞社が単なる広告だけでなく、本紙面で取り上げて偽説を持ち上げていることに、私には報道機関としての姿勢が問われるべきだと思う。単に反対意見を掲載すれば、中立性を保てて責任を果たしたというものではない。偽説の信頼性も検証すべきである。それを放棄している。

 私は12月14日に報知新聞社の記者と会って話をしてサンメディアとは係わらない方がいいと言ったのだが、宣伝に利用された。カラープリントをもらったので、スキャナで取り込んで、研究協力関係にある東京大学を通じて手に入れた産能大が所蔵する高解像度の「フルベッキ写真」のオリジナルの画像データと比較した。代表的な箇所を比較したものをファイルで添付する。

 サン・メディアは画像解析のソフトウェアを開発して実際に近い色をつけたとしているが、色付けだけでなく画像そのものをコンピュータ上で手を入れて変形させていることが分かる。右端の「陸奥宗光」と名指しされた人物の目尻は新たに書き入れられている。産能大のものと比べると家紋の形も明らかに変形している。首の後ろ部分の襟足が削られている。パソコン上の絵筆によるアニメーションをやった訳で、これが進むと、今後オリジナル写真に関係なく、都合よく画像を改変して見せる捏造が横行する切っ掛けになったと言える。

 以前にも説明したが、産能大のオリジナル写真ではネガの段階でのハレーションで家紋の模様はほとんど潰れて見えないものが多い。しかし、「陸奥宗光」の家紋は「蟹牡丹」であり、潰れても円や楕円形にはならない。明らかに別人の家紋である。他にも、オリジナル写真でははっきり解像出来ていたフルベッキの右後方の「別府晋介」に当てはめられた人物の「二重輪」の家紋は判読出来なくされている。家紋を論じるなら、やってはいけないことである。元々解像出来ていないのなら、産能大の写真のような解像度の高いオリジナルの鶏卵紙の写真から画像データを取ったのではなく、何かからのコピーであることを示している。画像のデータ元を明らかにすべきである。「井上馨」の家紋も形が明らかに違う。くれぐれも画像を改変してはならない。

 カラー化の方法についても甚だ疑問がある。幕末・明治の頃の白黒写真には感光材料にヨウ化銀や硝酸銀がベースに使われており、白黒画像に可視光線の情報は含まれていないことは写真技術の常識である。銀塩分子は400nmより短い波長の紫外線の光しか吸収しないので、撮影対象から反射された紫外線の強弱のみしか記録されない。どんなに白黒の濃淡画像を弄繰り回しても、可視光線である400から700nmの範囲にあるはずのカラーの情報は得られないのである。色付けするには当時の服の色を推測して適当に当て嵌めてやるしかない。つまり、白黒画像に関係なく、勝手に色をつけるしかないのだ。遊びとしてはいいが、元画像を改竄しておいて、歴史の真実を議論する資料にしようというのにはまったくもって呆れる。実用新案の登録は無審査で行われている。ちゃんと権利の行使を主張して特許庁の評価を受け、「カラー化装置」として正当なものかを明らかにすべきである。ヘンな理屈をつけて人心を惑わすのはやめるべきである。

 最終的に報知新聞社も含めて物笑いのネタになるのは勝手であるが、手前勝手にオリジナル写真を変形・変質されて、ありもしない情報を作り出して世の中を惑わす元凶になる危険を孕んでいる。それを許しているのが、各報道機関の「フルベッキ写真」に対する姿勢の問題である。

 スポーツ報知誌面の私のコメントを繰り返すが、人物の特定に腐心するより、「フルベッキ写真」が撮影されたスタジオが明治以降に作られたものであることの認識が最重要である。報知新聞社の記者の記述には間違いがある。それを率直に認めて訂正広告を出すことを要求する。坂本龍馬を撮影したスタジオはフルベッキ写真と同じスタジオではない。サン・メディアが44人を特定したと言っているが、名前は46人全員に入っている。残り2人の人物は特定もせずに名前を入れたのか。西郷隆盛と大村益次郎は写真が存在しないと言われている。同定に何を使ったのか。もし、彼らの写真が存在しているなら、その方が「フルベッキ写真」よりも遥かに重要である。速やかに情報を開示すべきである。大室寅之祐も顔写真は知られていない。なぜ、取り上げたのか。大室が明治天皇と摩り替わったとする邪説が流布しているが、明治天皇の写真を使って同定作業が行われたのなら、なぜ、明治天皇と書かなかったのか。はっきりしてもらいたい。明治天皇が何処の馬の骨とも分からない人物と摩り替わったというなら、大正天皇も昭和天皇も今上天皇も何処の馬の骨とも分からない人物の子孫であるということになる。それを証明するために「フルベッキ写真」を利用しているなら、はっきりそう言うべきである。報知新聞は、このことをどう考えているのか。報知新聞は邪説の片棒を担ぐつもりなのか。明らかにすべきである。

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