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2010年8月31日 (火)

一神教の正体

前回の拙記事「時代はアニミズムへ」では、安田喜憲氏の著した『一神教の闇』(ちくま新書)を土台に、地球規模の環境破壊を行っている一神教勢力の行き詰まりを描き、将来において人類が生き延びていくためには、多神教的な生き方に方向転換する以外にないことをお伝えしました。

孫子の格言「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ではありませんが、多神教的な生き方にパラダイムシフトするにあたり、最初に一神教の正体を正しく見極めておく必要があります。だからこそ、「一神教の正体」について記事にすると約束したのですが、筆者の怠け癖のため記事の執筆が延び延びとなっていました。

さて、早速に一神教の正体について言及していきますが、一般の辞書では一神教をどのように定義しているか、ここで確認してみましょう。以下は電子百科事典『マイペディア』の解説です。

一神教
唯一の神を崇拝する宗教。英語ではmonotheism。一般に一神教の神は抽象的で男性原理を有し,全知全能の創造主と考えられることが多い。ユダヤ教のヤハウェ,キリスト教の〈父なる神〉,イスラムのアッラーなどがそれにあたる。多神教との対比で,一神教の多神教からの進化や優位が説かれることがあったが,主にキリスト教の立場からする謬見である。

ついでに、多神教の解説も見てみます。

多神教
複数の神々を同時に崇拝する宗教をいい,英語では polytheism。一神教に対する。神道,古代ギリシアの宗教,ヒンドゥー教などがこれにあたる。広義には万物に霊が宿るとするアニミズムも含む。農耕社会に多くみられ,現世的な性格が強い傾向をもつが,一神教に比して未開であるとか劣っているわけではない。

要するに、「唯一の神を崇拝する宗教」である一神教とは、ユダヤ教から始まり、そこから枝分かれして誕生したのが、キリスト教、そしてイスラム教と書いてあります。よって、ユダヤ教の正体を知れば、自ずと一神教の正体が分かるはずですが、世間ではユダヤ教をどのように捉えてているのか、再びマイペディアで確認してみましょう。

ユダヤ教
古代イスラエルに発祥し,唯一至高の神ヤハウェを奉じる世界最古級の宗教。今日約1500万の信徒を擁し,イスラエル共和国,アメリカ,ロシアなど世界各地に散在する。聖典はいわゆる旧約聖書(この呼称はキリスト教徒によるものであることに注意),ミシュナ,タルムード。神とモーセ(〈シナイ契約〉)およびダビデ(〈ダビデ契約〉)の間に交された〈契約〉とメシア(救世主)の思想が根幹にあり,エルサレム神殿がその象徴。会堂をシナゴーグ,聖職者をラビと称する。独得の戒律(豚肉の非食などを含む),礼拝,暦などをもつ。いわゆる〈ユダヤ人〉の激動の歴史とともに種々の曲折を経てきたが,強い共同体意識は現代まで保持されている。カバラやハシディズムに代表される神秘主義の伝統にも近年大きな関心が寄せられている。

上記のユダヤ教に関する解説にあるように、世間ではユダヤ教発祥の地は古代イスラエルであるとしています。果たして、本当でしょうか…。

B100519 先に結論を言うならば、ユダヤ教発祥の地は古代エジプトであり、したがってユダヤ人の始祖はエジプト人ということになります。この一神教の正体を明確に暴いてくれた最良の書籍として、天童竺丸氏の著した『憎悪の呪縛 一神教とユダヤ人の起源』(天童竺丸著 文明地政学協会)をおいて他はありません。同書は415ページにも及ぶ浩瀚な書籍であり、参考までに目次を以下に転載しておきますので、これにより同書の大凡の内容をイメージして戴ければと思います。

序章 世界権力による日本解体の謀略工作
第一章 憎悪がすべてを動かしてきた
第二章 大地との決別と神の契約による再出発
第三章 殺される義人アベルの血の意味
第四章 ユダヤ人の祖型=神の寵児カイン
第五章 ハビル掠奪殺人集団
第六章 ラビが認めたユダヤ教=アテン一神教説
第七章 聖都アケトアテン――エデンにしてバベルの塔
第八章 二つの階級――神官ヤフウドとイスラエル
第九章 モーセ=アクエンアテン説
第十章 ファラオの父ユヤとヨセフの実像
第十一章 神父・宰相・ファラオそしてユダヤ人の神
第十二章 アテン一神教と天啓主教の神話的不毛
第十三章 発見された「出エジプト記パピルス」の怪

同書のなかで、天童氏はどのように一神教を定義しているか、上記のマイペディアの解説と比較する意味で以下に転載しておきます。

一神教は自然発生的に誕生するものではない。いわば、作為的人工的に作りあげられるものである。だから、世界の歴史において、一神教はアテン教とユダヤ教、キリスト教、そしてイスラム教くらいしか存在しない。
しかも、ユダヤ教はアテン教の後身、なれの果ての姿であり、キリスト教はユダヤ教の宗教改革であり、イスラム教はユダヤ教の換骨奪胎といえるから、歴史上すべての一神教はアテン教とその後身であることになる。

『憎悪の呪縛 一神教とユダヤ人の起源』p.178
 

ユダヤ教は古代エジプトで発生し、わずか10年ほど一神教の時代が続いただけで、一神教徒らはエジプトを追放されました(後に出エジプト記としてデフォルメされています)。そして、古代エジプトは再び多神教の世界に戻ったというのが、『憎悪の呪縛 一神教とユダヤ人の起源』の粗筋です。

実は、その天童氏の著作を叩き台に、さらに古代エジプト史の深奥にメスを入れたのが、栗原茂氏が情報誌『みち』に連載している、「アッシリア文明史論」です。詳述は割愛しますが、ユダヤ教をはじめとする一神教の正体に関心のある読者は、天童氏の『憎悪の呪縛 一神教とユダヤ人の起源』、および栗原氏が連載している『みち』を、この機会に一読ください。

なお、天童氏の『憎悪の呪縛 一神教とユダヤ人の起源』は、一神教の正体を白日の下に晒した本ですが、同様に重要なのは最終章の「発見された出エジプト記パピルスの怪」だと思います。これはツタンカーメン王墓から出土したという、バビルス文書のことを指していますが、世の中ではパピルス文書は幻であり、元々無かったとされています。しかし、バビルス文書は実存していたのであり、ユダヤ教には極めて都合の悪いことが書かれているため、今日まで隠蔽されている曰わく付きのモノです。このパピルス文書について、天童氏は同書の最後で以下のように結論づけています。

 これまで辿ってきたことから勘案すると、問題の「出エジプト記パピルス」は、シオニズムの対義を踏みにじる恐れが多分にあった。なぜなら、ユダヤ人は神の命令により、また神に導かれたエジプトを脱出し、何十年もの砂漠の放浪の果てにようやく約束の地であるカナン=パレスティナに到着したことになっている。パレスティナの地に住み続けてきた現地アラブ人のことはまったく無視されている。パレスティナにおけるイスラエル人国家建設の正当性は、ユダヤの聖典に記された「神の約束」だけを根拠としているといっても過言ではない。その経過がもしユダヤの聖典以外の古文書に記されていて、しかも出エジプトのときの行状が「恥すべき」だと規定されているようなものであったとしたら、現実的な政治・思想運動としてのシオニズムは挫折する以外にない。

『憎悪の呪縛 一神教とユダヤ人の起源』p.411
 

最後に、前回の記事「時代はアニミズムへ」でお約束した、天童氏が安田喜憲氏を評価している記事を以下に載せておきます。
081201_michi

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コメント

投稿有り難うございました。

先ほどまで、明後日発行される『みち』の校正お手伝いをしていましたが、今回の栗原稿は911事件と冥王星事件(2006年に冥王星が惑星の位置を外れた事件)を、栗原氏は例によって古事記に結びつけて筆を進めています。一神教と多神教も根源にも若干触れており、どれも究極的には古事記に行き着くようです。

栗原氏の下で、古事記を学習し始めてから一年半になりますが、漸くにして古事記の上巻をモノにすれば、インターネットや本雑誌に頼らずとも、世の中の潮流を正しく把握し、己れの明日どうなるかが分かるのだということが、朧気ながら分かってきたような気がしてきました。現在は高天の原を我々の住む天の川であることが分かったので、小学館で出している『太陽系大地図』(渡部潤一他著)を入手、アッシリアやエジプトと並行して天文学を勉強中です。

来年の9月には、上巻を基礎に世の中の動きを解読してみたいと思います。

サムライ拝

投稿: サムライ | 2010年9月 2日 (木) 午前 04時38分

サムライさん、ご無沙汰しています。
情報誌「みち」のなかの栗原さんの「アッシリア文明論」を何度も何度も読み返していますが、世界史に疎い私にはいまだに全貌が見えてきません。
しかし、世界騒乱の元凶が一神教と多神教の対立にある事が徐々にわかりつつあります。
天童さんや栗原さんの著書に出会えたのはサムライさんのおかげであり、今でも感謝に耐えません。
今は公開情報と自分の妄想で歴史を解読しています。

一神教の正体については非常に興味のあるテーマですね。サムライさんの研究が進む事を期待しています。

投稿: mayo | 2010年9月 1日 (水) 午後 08時45分

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