ブックオフは本のゴミ屋さん
今年の春先、二人の息子を連れて在米の藤原肇さんとお会いした時、ブックオフのことが話題になったことがあります。その時、藤原さんがブックオフのことを「ブックオフは本のゴミ屋さんだからね…」と喝破したとき、本好きな長男(高一)が呆気にとられた顔をしていたのを思い出します。
私の住んでいる街も御多分に漏れず、ブックオフが公害…、ではなくて郊外にあります。私は時々仕事中の息抜きに、子ども達を連れて車で件のブックオフに行くことがあり、オンラインの古本屋さんでも手に入らない本や、手に入るにしても高い値が付いている本などを探し出して入手するのが狙いですが、それ以外にも初めて接した本でなかなかの良書が定価の半額、時には105円で売っていることもあり、そうした場合は必ず購入することにしています。子ども達にもマンガ本以外は買ってやるから、好きなだけ選んでも構わないと言っているので、結構彼らなりに気に入った本をたくさん探し出してきます。その意味で、ブックオフにとって我々親子は良いお得意様かもしれません。藤原さんもロスにあるブックオフという本のゴミ捨て場に時々寄り、掘り出し物に当たることが時々あるとのことでした。
そのブックオフですが、ご存知のように集英社、講談社、小学館という日本を代表する大手出版社、そして大日本印刷がブックオフの株を取得したニュースは記憶に新しいところです。このあたりのニュースは6月27日付の東京新聞が詳しいので、記事のコピーを載せておきましょう。以下の記事をクリックして下さい。特に注目すべきは最後のページ右下のイラスト「ブックオフをめぐる出資の流れ」であり、この図を眺めることによって現在の出版業界の潮流が読み取れると思います。
ところで、上記の記事の中で、『だれが「本」を殺すのか』を著した佐野眞一氏は、今回の動きについて以下のように述べています。
「すでに書店の淘汰は進んでおり、今回の動きで廃業が増えるとも思えない。出版三社の狙いはまだよく分からず、あまり大げさに考える必要はないのかもしれない」
この佐野氏の発言を目にして、筆者は物足りなさを感じました。何故なら、筆者にとって本は単なる物ではないからであり、本を物扱いにしてバナナの叩き売りよろしく売りまくっているブックオフに対して、佐野氏は本と物の違いについて何か発言しなかったのでしょうか…。
藤原さんは本を非常に大事にする人であり、たとえば7年ほど前、東明社という出版社が自社の書庫を売却するため、藤原さんの本をはじめとして多くの本を裁断するということになった時、藤原さんは自著を含め、東明社から刊行された貴重な図書を買い取ったのでした。現在、その時の本は拙宅に大量に保管してあり、希望者には有償で頒布しています。以下は頒布本の案内のページですが、本に対する藤原さんの言葉の数々をページの最後の方にまとめてありますので、関心のある方は一読下さい。
なお、近日中に藤原さんの新著が出る予定であり、詳細は以下の掲示板(投稿No.156~)を参照願います。
ともあれ、上記の大手出版社の台所は火の車であるという情報を筆者は掴んでおり、その辺りから今回のブックオフ株の取得の裏を読み取っていく必要がありそうです。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
マヨさん、こんばんわ。小生も藤原さんの新著が楽しみです。
アップした東京新聞の記事の最後の「デスクメモ」にもありましたが、「せどり」を仕事にしている人は確かに存在しているようです。1年前ですが、アマゾンでは1万円はする本が105円で売っていたことがありました。しかし、数日(確か一週間ほど)して言ってみたら、もうありません。あれは悔しかった。だから、今ではそうした本を見つけたら即カゴに入れて買っています。
今後もお互いのブログで良い本の紹介をしていきましょう。
投稿: サムライ | 2009年7月 1日 (水) 午後 07時27分
サムライさん、こんばんは。うれしいですね、藤原先生の新刊ですか・・・。発売日が決まりましたら教えてください。
ブックオフはたまに行きます。地図とか、変わった本があれば買います。普通に欲しくなるような本はまずないですね。でも、古本屋で高い買い物をしたことがあるのである意味良心的かも・・・。
まあ、大手の資本が入ると変わっていくでしょう。売れなくなった本を叩き売る店になる気がします。
投稿: mayo | 2009年7月 1日 (水) 午後 07時07分