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2008年11月16日 (日)

世界大恐慌と翻訳者

現在の日本は、世界大恐慌という中波に翻弄されている木の葉のようです(今回の世界大恐慌は、100年に一度あるかないかという規模のものですが、人類全体にもたらしたインパクトの大きさという物差しで測るとすれば、今回の世界大恐慌は中波レベルのものに過ぎません。では、本当の大波とはどのようなものかと云うと、農業大革命、産業革命、情報革命の三つです。この三大革命については、拙ブログでも「21世紀を生きる子どもたちへの最良の指南書)」として取り上げており、現在の私は翻訳を生業としている関係から、来る情報革命において翻訳業界はどのような位置づけになるかについても、併せて同記事に書いておきましたので、関心のある翻訳関係者の方々に一読して戴ければ幸いです。
21世紀を生きる子どもたちへの最良の指南書

さて、今回は本記事の題名にある「世界大恐慌と翻訳者」に絞って筆を進めていきます。

私の場合、今回の世界大恐慌が誰の目にも明らかになった、9月16日のリーマン・ブラザーズの倒産以降、海外の翻訳会社からの仕事が激減しました。なかには、顧客からの値下げ要求が厳しいので、お前の翻訳料金を引き下げてくれという翻訳会社が出る始末です。こうした状況下にあってはジタバタしたって仕方がないので、ちょうど良い充電期間に入ったと考え方を切り替え、今までに読もうと思って購入しておいた二メートル近くの本を、片っ端から読み進めるという読書三昧の日々を送っています。無論、このような生活をいつまでも続けられるわけではなく、生活するためにも稼がなければならなりませんが、こうした状況に追い込まれて一番助かったと思ったのは、ProZ.comという世界最大の翻訳者のコミュニティのメンバーであったという点です。ProZ.comを経由して平均して週に一回のペースで、、世界各地の翻訳会社から仕事の打診やトライアルのすすめに関するメールが届きます。最近も、スウェーデンの翻訳会社からトライアルを受けてみないかという誘いのメールがあり、時間があったので受けてみたところ無事に合格、来週から実際に仕事がスタートすることになりました。今回はマニュアルではなく企業誌風の原稿であり、原文である英語を自然な日本語に翻訳する力が求められているだけに、やり甲斐があるなと思った次第です。

ともあれ、世界的な不況に突入した今日、日本国内だけでなく海外の翻訳会社も視野に入れることにより、それだけ仕事を獲得する機会が増えることが容易に想像できると思います。

海外の翻訳会社について
つい最近まで、国内の翻訳会社から英日の仕事を承るのが普通でした。しかし、ここ2~3年で様子が大分変わってきました。日本国外の翻訳会社からの英日翻訳の依頼が大幅に増えてきたのです。私の場合、3年ほど前までは100%国内の翻訳会社から英日翻訳の仕事を承っていました。ところが、1年ほど前には国内の翻訳会社からの依頼が全体の仕事量の10%に下がり、逆に海外の翻訳会社からの仕事の依頼が全体の仕事量の90%を占めるまでになっています。

今日では、世界各地の翻訳会社から仕事やトライアルの打診のメールが届きます。そして、ヨーロッパ・北米といった翻訳会社が設定している英日翻訳の料金は比較的よいのですが(分野によると思いますが、私の場合は自動車・機械・電気電子・半導体分野を専門としており、英文1wordあたり12円前後で設定しています)、逆に香港を含む中国、インド、タイ、ベトナムなどが設定している翻訳の料金は、5~6円と欧米の翻訳会社の半分(3~4円といった具合に、三分の一という翻訳会社もある)という低さです。同じアジアでも、欧米の翻訳会社並みに設定料金が良いのがシンガポールと台湾という印象を持っています。肝心な日本ですが、最近は欧米の翻訳会社よりも翻訳料金の低い会社がほとんどであり、インドや中国本土並みに翻訳料金の低い翻訳会社が増えてきています。そうした翻訳会社との付き合いを2年前から徐々に止めるようになった結果、現在では国内の翻訳会社との付き合いは2社のみとなりました。

ところが、折角付き合い始めた欧米の翻訳会社も、9月16日のリーマン・ブラザーズの倒産をきっかけに、めっきりと翻訳の仕事が減り、なかには小生の設定した翻訳料金を下げて欲しいと言ってくる海外の翻訳会社が出る始末です。また、つい最近まではユーローが強かったので、ヨーロッパの翻訳会社を中心に翻訳の仕事を承ってきましたが、最近はひどいユーロー安であり、そのためヨーロッパの翻訳会社から振り込まれてくるユーロを円に換える気が起こらず、もう少しユーロ高になったら一気に円に両替しようかどうしようかと頭を悩ませています。さらに、ドルも他国の通貨に対してドル高になっているのに、何故か円に対してだけはドル安という有様。したがって、アメリカの翻訳会社から振り込まれてくるドルも、当面は塩漬けにするしかなさそうです(尤も、近い将来ドルが紙屑になる可能性も否定できず、1ドル100円を上回ることも余り期待できないことから、タイミングを見て損を覚悟で円に換えるしかないと諦めの境地です)。そうした事情から、リーマン・ブラザーズの倒産以降、新たに取引を始めた翻訳会社に対しては、円建てでお願いすることにしました。ただ、円にしても所詮は単なる紙切れであり、知遇を得ている在米の藤原肇さんにプレゼントしてもらった『石油と金の魔術』を読みつつ、資産の三分の一程度は金にしようなどと色々と対策を考えています。

なお、資産については金を購入する他、株などを購入するという手もあると思います。特に株という投資を考えてる方は、下手なエコノミストや株評論家のブログやホームページを参考にして株を買うのではなく、飯山一郎氏のホームページを参考にすることをお勧めします。飯山さんとは、過日書いた新記事『邪馬台国論争 終結宣言』が縁で知己になりました。
飯山一郎のホームページ

自分を売り込む

ともあれ、考え方としては国内の翻訳会社だけではなく、広く世界の翻訳会社も対象に入れて自分を売り込むことが肝心です。そのためにも、一番良いのは上記のProZ.comのメンバーになることだと思います。関心を持った読者は、一度同コミュニティにアクセスしてみてください。
ProZ.com

同コミュニティは様々な試みを積極的に推し進めており、最近はProZ.com Certified PRO programという新しい試みを始めました。これは翻訳会社や翻訳者がProZ.com本部に推薦した翻訳者を同ProZ.com本部が審査する形をとり、審査にパスした翻訳者は客観的に実力を備えた翻訳者として認知されたことを意味し、かつそれだけ仕事を獲得する可能性も高まるということになります。幸い、私も数ヶ月前に同審査にパスしました。これからは周囲に居る実力ある翻訳者を積極的にProZ.com本部に推薦していき、英日翻訳のProZ.com Certified PROメンバーを増やし、お互いに仕事を融通し合えるチーム(仲間)ができればと考えています。それには力量ある英日翻訳者をある程度確保する必要があり、そのためにも今後もこの人はと思う英日翻訳者をProZ.com本部に推薦していき、メンバー数を増やしていきたいと思っています。ProZ.com Certified PROの詳細については以下を参照願います。
ProZ.com Certified PRO program

さて、ProZ.comに参加して2年が経った今、朧気ながらも分かってきた海外の翻訳会社が求めている英日翻訳者像について、以下に取り上げておきましょう。一読することにより、翻訳者として今後どのような研鑽を積めば良いのかが自ずと分かると思います。

山岡洋一氏という翻訳家がいます。山岡氏は「翻訳通信」という翻訳関係者には参考になる記事を毎月発行しており、当面は無料で発行する予定とのことなので、関心のある翻訳者は登録することをお勧めします。以下のサイトからダウンロードできます。過去の記事も保管してありますので、関心のある号をダウンロードして読むことも可能です。
翻訳通信 ネット版

さて、最新号の「翻訳通信」(2008年11月号 第2期第78号)の中で、ここ20年間ほどで翻訳の仕事が大きく変わってきたと、山岡氏は以下のように述べています。

 

 
 語学の仕事だった翻訳が大きく変わったのは、 1980 年代末ごろからだったように思う。産業翻訳は、 1985 年のプラザ合意後の円高で激変した。ひとつに は、円高のために輸出産業が打撃を受け、製品輸出 に伴って発生していた外国語方向への翻訳が減少し た。そのうえ、円高で日本の給与水準が高くなった ためだろうが、外国人が大量に日本に移り住むよう になり、日本語をしっかりと学んだ外国人の数が飛 躍的に増えた。そのため、日英などの外国語方向へ の翻訳は、外国人の翻訳者に任せることが多くなっ た。翻訳は母語方向に行うものという常識がようや く、日本でも通用するようになったのである。

 もっと大きかったのは、たぶん、日本人が外国語、 とくに英語に自信をもつようになり、同時に日本語 にも自信をもつようになったことだろう。1990 年代 になると、翻訳調の翻訳は嫌われるようになる。当 時、外資系企業の翻訳発注担当者から、こんな話を 聞いたことがある。数年前までは、製品カタログの 翻訳が翻訳調になっていないと、もっとバタ臭い文 章でないとありがたみがないと営業部門から苦情が でたが、いまでは翻訳調だと逆に、これでは顧客が 読んでくれないと文句をいわれるようになったとい うのである。ほんの数年の間に、翻訳に関する要求 が大きく変わったのである。

さらに読みたい方は、「翻訳通信」(2008年11月号 第2期第78号)をダウンロードしてください(pdf書式)。

「200811.pdf」をダウンロード

以上、山岡氏の主張を私なりにまとめるとすれば、日本語を母語とする産業翻訳者は、英日翻訳(英語以外の原語もありますが、マーケットの観点から英文が圧倒的に多い)を中心に手がけ、かつ専門分野を絞り、判読するのに苦労するような翻訳調の訳文ではなく、読めばスラスラと頭に入るような自然な和文に訳出する力が必要となるし、このあたりの翻訳力は各自それぞれのやり方で磨いていくべきだと思います。私の場合、ブログに様々なジャンルの記事を書いたり、企業への寄稿などといった形で自身の日本語力を磨いています。山岡氏も以下のように書いています。

 

 
 これで翻訳はほんとうに面白い仕事になった。翻 訳が「語学」の仕事だった時代には、産業翻訳者は 数年経つと筆が荒れてくるといわれていた。どのよ うな分野の文書でも、入ってくる仕事を分野を問わ ずこなしていれば、原文の意味を理解できないまま、 機械的に翻訳していかなければならない。これでは、 筆が荒れるのも当然である。これに対して、原文の 内容を十分に理解し、意味を適切に伝えられる優れ た文章を書こうと努力するのであれば、翻訳はいつ も新しい挑戦になる。年数が経てば筆が荒れるどこ ろか、円熟していけるようになる。だから、翻訳者 にとって、総合力で勝負できるというのはじつにあ りがたいことなのだ。

山岡氏の云う「総合力」で勝負できるようになれば、相手の翻訳会社やクライアントが日本国内であろうと、欧米、あるいはアジアであろうと関係なくなります。自分の「総合力」に見合うだけの翻訳料金を支払える翻訳会社を、世界中から探し出しましょう。最後に、本記事のまとめです。

世界最大の翻訳者コミュニティであるProZ.comのメンバーになる
山岡洋一氏の云う「総合力」を磨く

なお、山岡氏の云う「総合力」を磨くにあたって、最適な語学学校がありますので以下に紹介致します。関心ある読者は一度アクセスしてみてください。

サングローバル翻訳講座


ProZ.comの仲間である日本人翻訳者に上記の山岡氏の記事を送ったところ、以下のような感想がメールで届きました。知人の翻訳者の専門は医学ですが、他の分野でも似たような傾向にあると思います。

 

 
山岡洋一氏のお話を読むと気が引き締まります。
辻谷先生の本を読んでも(ショックを受けつつ)、同じような感情が湧いてきます。
でも悲しいかな、医学翻訳ってまだまだ「へんちくりん」な日本語を良しとする風潮がなんとな~く あって、「わけのわからん『暴れたろかっ!』という気になるような日本語=格調が高い」と勘違い してるようなところがあります。この傾向は、日本の製薬企業・医療機器メーカーに多く見られるとい う話。その反対に外資の会社(某製薬会社と某医療機器メーカーを除く)は、けったいな和訳をすると、フィ ードバックという名の苦情がきます(特に某社はすごかった。でもたった1回だけやけどホメてくれたし、 勉強にもなったけど)。

「大不況に関する11月18日付の東京新聞の記事」
081118_tokyo01 081118_tokyo02

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コメント

投稿ありがとうございました。久しぶりの同業者からのコメント、嬉しく思います。

なお、本ブログは閉店状態で閑古鳥が鳴いていますが、別ブログで細々とどうにか生きています。「人生は冥土までの暇潰し」というブログですが、その「仕事編」で翻訳に関する記事を時折書いています。
http://toneri2672.blog.fc2.com/blog-category-3.html

今後ともよろしくお願いします。

投稿: サムライ | 2014年8月16日 (土) 午後 03時31分

すばらしいブログですね。
フリー翻訳者をしておりますが実にinformativeな記事が多いと思います。Prozに登録しました。

昨今の翻訳料金のデフレ化には危惧を抱いているところです。

投稿: 千葉賢太郎 | 2014年8月16日 (土) 午前 10時30分

こちらこそご無沙汰しています!

非常に面白くブログを拝読させていただきました

JTFでは弊社・福島がお手伝いをさせていただいておりまして、私の方は永い間ご無沙汰しています

またお目にかかれるのを楽しみにしています!

投稿: 上田 | 2009年12月18日 (金) 午後 01時29分

たびたびの投稿、有り難うございます。Tradosをご利用でしたら、是非以下に登録してみてください。1ヶ月あたり、1社のペースで仕事の打診が来ます。小生の場合、忙しくていつも断っています。
http://www.translationzone.com/en/community/freelancerdirectory/

その他、本ブログのどこかで書いたと思いますが、翻訳パラダイスや翻訳ディレクトリもいいですね。アメリアも無料なら登録したいのですが、有料なのでパス…(笑)

仕事がないと困っている知人の翻訳者には、積極的に海外の翻訳会社のトライアルを受けるように勧めています。一日一善ではありませんが、一日一社を目指せと…。

それにしても、コメントに絵文字を入れることが出来るのですね、知りませんでした。では、試しに…

投稿: サムライ | 2009年9月11日 (金) 午後 03時13分

サムライ様
早速のお返事ありがとうございました私は日本在住者です。ブログにははっきりと書いていないので、そのように受け取られる方も多いかと思います。ブログは短時間で何も考えずに書いているので、後で読んで出来の悪いものばかり。正直あまり人にはお勧めしたくないものです。ブログはロシアという国に悪いイメージを持っている人が多くいるので、少しでも身近に感じてもらえたらと思い、始めました。
サムライさんのブログを拝見して、その日に有料会員登録をしたのですが、その他にも翻訳会社にアプローチされているとのことですので、Tipsを有効的に活用し、頑張っていこうと思います

投稿: たに | 2009年9月11日 (金) 午後 02時41分

たにさま、投稿ありがとうございました。

たにさんのブログを拝見しました。現在はロシアにお住まいとの由、大分昔の十代の頃に初めて海外に発ち、初めて踏んだ外国の土地がモスクワでした。あの当時を思い出します…

ProZの有料会員になられたとのことですが、何と気の早い…(笑)1年くらい無料会員で様子を見る手もあったのですが…。それでも、たにさんのブログや本ブログへの投稿の文面から、ProZで暴れて(KudoZやフォーラム)有料会員から優良会員になる日も間近ですね。Prozで暴れまくるほど、翻訳会社からのアプローチが増えてくると思います。頑張ってください。なお、愚生の場合はProzとAffiliateの契約はしていません。

拙ブログでは、翻訳記事は年に1本程度と決めていますので、あまり翻訳関連の記事は多くはありません。尤も、気が向いたらさらに書きたいという気持ちはあります。なお、ロシアにお住まいなので、知人が著したロシア関連の以下の書籍に目を通して戴ければ幸いです。小生が自信を持って推薦できる書籍です。

『「今のロシア」がわかる本』(畔蒜泰助著 三笠書房)

彼と会ったことがありますが、礼儀正しい上に、すぐれたインテリジェンスの持ち主です。彼は藤井昇(厳喜)の起ち上げたシンクタンク「ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ」の一研究員でしたが、すでに師範の藤井を超えています。「青は藍より出でて藍よりも青し」とは、まさにこのことですね。

The pupil has outdone the master―The son has eclipsed the father―The daughter outshines the mother.

投稿: サムライ | 2009年9月11日 (金) 午前 11時04分

初めまして。
翻訳の仕事を検索していてアメリアやProzの存在を知り、こちらのリンクより有料Proz会員になりました。仕事はまだまだ入ってきませんが、通訳/翻訳サイトとして最も役に立つ情報だと感じたのが、こちらのブログです。
ProzとAffiliate契約などはされていますか?Prozの情報があまりないので、ここからMemberになる人は結構いると思います。私はすぐにお気に入りに登録しました。
Prozの質問コーナーでプロフィールも拝見いたしました。
今後も有益なブログを是非是非続けていってください
ブログのコメントで絵文字を打つのは初めてです。これはおもしろいですね

投稿: たに | 2009年9月11日 (金) 午前 10時09分

yukoさん、こんばんわ(かな?)

投稿有り難うございました。徐々に、ProZ.comの仲間が増えてきて嬉しく思います。

すでに、何名かのProZ.comメンバー(英日翻訳者)と、時にはメール、時にはスカイプで連絡を取り合いながら、お互いに情報交換や仕事の譲り合いなどについて意見交換を活発に行っています。もう少ししたら、現在のProZ.comの仲間と一気に展開(公開)することも考えていますので、その時にお声を掛けます。検討の上ご参加ください。

海外の翻訳会社との付き合いが多いので、現在はシティバンクをメインに海外からの送金を受け取っていますが(正確にはPayPalであり、PayPalからシティバンクへ振込という形です。しかし、先週からシティバンクに振り込むのは止め、国内の都市銀行に振り込むようにしています)、だんだんと世界経済の動向が妖しくなってきました。こののあたりは、知人の飯山さんのホームページが一番参考になると思いますので、一度ご訪問ください。
http://www.geocities.jp/o1180/

今後とも宜しくお願いいたします。

投稿: サムライ | 2008年11月26日 (水) 午後 08時12分

私もProzを利用させていただいています。特に今年1年間は利用頻度も増えてきました。よいアウトソーサーに出会えることを願いながら、日々こつこつと英日翻訳と向き合っています。

投稿: yuko | 2008年11月26日 (水) 午後 07時55分

> 各章に訳者の意見を入れていたのは
> 一章ずつ鬼塚さんへ送って意見をい
> ただいていた名残です。

そうでしたか、納得です。一番微笑ましく思った箇所は、p.126の上段の「(訳注、申し訳ない、ちょっとここのところ意味がわからない)」という箇所でした。マヨさんは本当に正直で良いと思います。

山田久延彦さんの『真説・古事記』がベースになりますので、世間一般の目から見ると「トンデモ」シリーズに見られる可能性大です。フルベッキ写真と同じでして、自信を持って山田さんの説について己れ意見を言えるようになるまでには、数年かかるような気がします。そのあたりを初回に書くつもりです。

投稿: サムライ | 2008年11月22日 (土) 午前 06時14分

さむらいさん、こんばんは。各章に訳者の意見を入れていたのは一章ずつ鬼塚さんへ送って意見をいただいていた名残です。
古事記ですか・・・、ほとんど読んでないな。たぶん英語より難しいと思う。サムライさんのを読んでから古事記を読みましょう。それまでは三国史記と日本書紀にします。

投稿: mayo | 2008年11月21日 (金) 午後 08時47分

マヨさん、本当にコメント有り難うございました。

マヨさんの訳出した『Warriors』は、他の本と並行して読み進めているため、なかなか読了できません…^^; でも、仕事の進捗状況にもよりますが、あと1~2週間ほどで読み終える予定です。

さて、『Warriors』を三分の二を読み終えて思ったのは、マヨさんは翻訳を職業としているわけでもないのに、なかなか翻訳が上手だなということです。これはお世辞でも何でもありません。日本語として不自然な箇所や誤字脱字を訂正するだけで、直ぐにも本にして出版できるレベルです。無論、自費出版ではなく、出版社に出版させる商用出版のことです。

ただ、翻訳の観点で一つだけ気になったのは、時折マヨさんのコメントが入っていることであり、これは、「翻訳者後書き」の形でまとめて書いた方がよいのではないでしょうか。何故なら、原則として原文には訳者の個人的な意見は入れないのが翻訳上の鉄則だからです。無論、これはマヨさんのコメントの内容に反対という意味ではありません。

ところで、マヨさんが手古擦っているというPDFファイルをダウンロードしてみました。小生も時間を見て一読し、訳せそうでしたら翻訳してみたいと思います。ただし、来年の4月上旬までは例年書き入れ時なので、本格的に着手できるのは4月以降になりますが…。

話は変わって、近日中に古事記について第一弾を書いてアップします。記事数にして15本ていどになると思うので、仕事の合間に執筆を進めるとして5年程度はかかります。そして、新たに「古事記」というカテゴリーを設けます。連載がスタートしたら、間違っていると思った点は遠慮なく指摘してください。宜しくお願いいたします。

投稿: サムライ | 2008年11月21日 (金) 午後 04時37分

サムライさん、こんにちは。もう少し早くサムライさんと知り合っていれば翻訳で困った時に聞くことができたのに・・・・と残念です。ヤマト王朝では天皇の会話を名古屋弁で訳し、母からずいぶん怒られました。一冊を翻訳し、日本語になるよう修正すると半年はかかりますね、金をもらってもやりたくないと言うのが本音でした。一番困ったのが中国人の名前の英語表記で、中国人を見つけては聞いて回りました。とてもおもしろい体験でした。相手は大喜びで教えてくれます。外国の人と仲良くなるには相手の国の事を聞くことなんだと知りました。Warriorsで、米兵士が日本軍の財宝の搬入をwatchしていたのですが、目撃したとしました。監視していたでもいいし、悩みますよね。プロは大変だ。
実は、私のHPの研究室にブレディー債に関する英文記事があるのですが、何度やっても訳せないのです。僕の頭が悪いのか、相手の英語が悪いのか、その点、英国人のシーグレイプ氏はわかり易かった。一度見てください、おもしろい内容なんだけどお手上げなのです。オーストラリアにいる知人に見せても十分に訳せなかったんですよ。一応、アドレスを付けときますね、
http://mayonokuni.web.fc2.com/bredyfund.pdf

投稿: マヨ | 2008年11月21日 (金) 午後 04時10分

華さん、投稿ありがとうございます。

愚生とは異なり、マヨさんのブログは逆に敷居が低いのですが、これもマヨさんの人柄でしょうね。老子の云う「上善は水のごとし。水は善く万物を利して争わず、衆人の悪む所に処る」という格言が示すように、マヨさんの人柄に皆さんが惹きつけられて投稿していることがよく分かります。

さて、翻訳者といっても、明日の仕事も入ってくるかどうかも分からない不安定な生業です。「大不況に関する11月18日付の東京新聞の記事」を、最後の方に2本載せておきましたので、クリックして読んでみてください。特に、「雇用破壊」と題した左側の記事にもありますように、「派遣社員を直接雇用する義務があるが、通訳や秘書など二十六の専門業務はその対象外で、派遣期間は無制限だ」と書いてある点に注目願います。一見、通訳や秘書などの専門業務はスペシャリストなので、派遣期間が無制限でもさして影響ないように思う人たちが多いかもしれませんが、実態は全く異なるのです。愚生の場合は、さらに派遣ではなくて在宅なので、それだけ厳しいものがあります。

それでも、一人の翻訳者として己れを安売りする気は毛頭なく、翻訳者を冷遇するような翻訳会社とも付き合う気はありません。翻訳者が人並みの生活を享受できる程度の翻訳料金を支払ってくれ、翻訳者を人間として認め付き合ってくれる翻訳会社とのみ、愚生はお付き合いを継続していますので、今では殆どが海外の翻訳会社になりました。特に、ヨーロッパの翻訳会社の場合、日本やアメリカのように新自由主義にそれほど汚染されていないため、翻訳者を人間として大切に扱ってくれる会社が多いので気に入っています。そのためでしょうか、小生がお付き合いしている翻訳会社の6~7割が、ヨーロッパ系の翻訳会社になったのも自然な成り行きでした。ですので、ユーロー安の問題があるにせよ、今後もヨーロッパの翻訳会社を中心にお付き合いをしていくつもりでいます。

華さん、月に一本更新するかしないかといった半閉鎖のブログですが、また寄ってください。

投稿: サムライ | 2008年11月18日 (火) 午前 08時01分

サムライさん、こんばんは。
初めてお邪魔します。敷居の高いブログなので緊張しますね。翻訳について最近感じました。「朱蒙」という韓国ドラマを見ていますが、CDやネットでのダウンロードを利用しています。台詞がそれぞれ違いますね。翻訳が違う。GYAOのネットダウンロードの翻訳が一番しっくり来ます。OCNは子供向けという感じで見るだけ損という感じがする。翻訳一つでこれだけ違うのだから翻訳技術とは大変なものなのでしょう。シュテファン・ツヴァイクの「心の焦燥」を読んだとき、衝撃でした。でも翻訳者の名前が思い出せません。私はラッキーだったのでしょう。彼の歴史観は別として、英語で読めればいいのにな。
私がバーテンダーをしていた時、ずいぶんお世話になったロシア語の先生がいました。ロシア語の産業翻訳が一番儲かる、といっていましたが、じゃぁ先生がやれば、と私が言うと、ロシア語は難しいんだよ、といいました。先生でも難しいのですね。

投稿: 華 | 2008年11月18日 (火) 午前 05時16分

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