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2007年7月

2007年7月 4日 (水)

『ヒバクシャ』

「原爆しょうがない」発言で久間防衛相がついに辞任しました。
久間防衛相の『原爆しょうがない』発言部分の映像

それにしても、後任の防衛相が小池百合子首相補佐官とは世も末です……。これは人材が枯渇している日本を象徴した人事と言えるのであり、安倍首相の選んだ小池百合子という人物の裏の顔については以下の記事を再読願います。
安倍内閣の世にもお粗末な首相補佐官人事

さて、この久間発言を巡って大騒ぎになったマスコミ界ですが、そうした騒動の陰でうっかり見落としそうな、重要な原爆関連の記事がJANJANに載りました。
遺族に無断で臓器を摘出・英核燃料再処理(1)
遺族に無断で臓器を摘出・英核燃料再処理(2)
遺族に無断で臓器を摘出・英核燃料再処理(3・終)

B070704 原爆と言えば一般に広島と長崎の被爆者を連想するのが普通であろうし、過去の話と考えている読者も多いと思います。しかし、実際は第二次世界大戦が終わった当時よりも、現在の方が事態はより深刻なものになってきており、日本の国土に住む人たちのほぼ全員が「ヒバクシャ(内部被曝者)」になる可能性があるのです。ここで、被爆者とせずにヒバクシャとしたのは、『ヒバクシャ』というドキュメンタリー映画を制作した鎌仲ひとみ監督の定義に従ったものであり、鎌仲監督はヒバクシャを以下のように定義しています。

 「ひばく」といえば、「被爆」という漢字を使うが、これは身体の外から放射線を浴びた場合の「ひばく」であり、身体の中から浴びる場合は「被曝」という漢字を使う。しかし、私は、カタカナで「ヒバクシャ」と表現することにした。
『ヒバクシャ』(鎌仲ひとみ著 影書房)p.35

B070703 私の言う、「日本の国土に住む人たちのほぼ全員がヒバクシャになる可能性がある」は後者の「被曝」の危険性を指しています。「被曝」の怖さにいつては鎌仲監督が著した『ヒバクシャ』や同監督のドキュメンタリー映画『ヒバクシャ』を実際に観ていただくとして、なぜ、「日本の国土に住む人たちのほぼ全員がヒバクシャになる可能性がある」と言い切れるのか、映画『ヒバクシャ』の中で肥田舜太郎医師の発言に耳を傾けたり、ウェブで読むことのできる肥田医師の以下の発言に注目してください。

乳ガンはなぜ増えたか

 アメリカの白人女性の乳ガンは、1950~89年に倍増しました。婦人運動の要請を受けて政府は原因を調査、大気汚染や化学物質のせいだと説明したのです。

 本来は企業系のいわゆる御用学者だったJ.M.グールドは、その説明に不審を抱き、たくさんのスタッフをやとって統計を分析しました。全米3053郡のガンの統計を調べてみると、乳ガン患者が増えている郡は1319だけです。

 1319の郡について、水や食べ物の汚染といったあらゆる諸要素との相関を、グールドは緻密に調べました。すると1319郡はすべて、100マイル(約160km)以内に、原子炉(軍用、発電用、研究用など)があったのです。

……中略……

 私はいま、日本でも同じ相関がないのかどうか、確かめようとしています。日本では、原子炉が160km以内に無い県はないので、80kmで試行錯誤しています。作業の協力者を求めています。(筆者:肥田さんの作業の途中経過は『内部被曝の脅威』(ちくま新書)で、すこし触れられています)

当初、自分で被曝の怖さについて一筆書こうと思っていましたが、上記の被曝に関する優れた記事「かくされてきた被曝 ぶらぶら病」で十分言い尽くされていると思いましたので止めます。トドメとなるのが以下のサイトでしょう。オーナーは以前原発に勤めていた平井憲夫さん(故人)です。
原発がどんなものか知ってほしい

原発の怖さを知っているはずの東電をはじめとする日本の電力会社が、どうして未だに原発を推進しているのかについての話は別の次元の話になりますので、機会があればいずれ執筆してみたいと思います。ともあれ、日本の場合は原発が恐怖の内部被曝につながるという点を記憶に留めておいてもらえれば幸いです。

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