東京新聞の夕刊に元大関小錦の手記が連載されていますが、特に今日の記事(第111回目)には心を打たれました。最近取り上げている在米の国際コメンテーター・藤原肇氏の「愛国心」に相通じるものがありそうです。
ボクが来日したのは一九八二年だった。人と車の多さに目を丸くしたのを今でも覚えている。それから二十五年。日本はずいぶん変わったね。変わったというより、悪くなった。若者の乱れは深刻だ。とくに若い女性が心配だよ。だって、平気で売春するんだもの。それを日本の社会は深く追及しない。見て見ぬふりをする。 ハワイでは売春をやっているとすぐに捕まるから、簡単にはできない。性風俗の乱れに加えて、麻薬が簡単に手に入るのも社会のひずみにつながっている。六本木や渋谷の盛り場に出かけて、一万円も出せば麻薬が買えてしまう。これは恐ろしいことだよ。
この前、ハワイで一番偉い米連邦捜査局(FBI)の捜査官と学校をまわった。行く先々でビデオをまわした。子どもたちに麻薬を乱用すると死に至ると啓蒙してきた。子どもは社会の宝でしょ。その子どもたちにたやすく麻薬が手に入る社会なんてボクには考えられないよ。
早く手を打たないと、本当に怖い社会になっていく。実際、東京は国際的な犯罪都市になりつつある。金のためなら平気で人を殺す風潮がまん延しつつある。精神的に荒廃した子どもたちが、そのまま大人になったら…、と考えただけでも恐ろしくなる。
今の日本人には愛国心がなくなったね。愛国心といっても戦前の軍国主義につながる愛国心じゃない。日本の社会と人を思う心だ。本当に国を愛する気持ちがあれば、ボクが嘆く問題を少しでもよくしようとするはずじゃないか。
例えとして適当かどうかは分からないが、尖閣諸島・魚釣島問題で、エスカレートした一部の中国人活動家がかつて、魚釣島に上陸した。領土問題の是非はともかく、あれくらいの勢いがないと駄目だと思うね。
日本人に愛国心が出てくるのはスポーツのときだけでしょ。「ニッポン、チャチャチャ…」というときしか、愛国心を発揮できないのは寂しく、悲しいね。
社会を変えるにはまず家庭を大切にすることだ。誰もが家族を思う気持ちがあれば社会だって自然と変わっていく。
「この道」 元大関 小錦八十吉 |
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