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2005年9月26日 (月)

『丸山真男 音楽の対話』

b050926 昨日に引き続き、アマゾンドットコムに『丸山真男 音楽の対話』の書評を書いたことを思い出したので、この機会に転載しておきたいと思います。

生まれながらにして名著の地位を約束された本

 『丸山真男 音楽の対話』は、下手な音楽のプロも足元に及ばぬほど音楽に造詣が深かった丸山眞男と音楽との関わりについて述べたものであり、丸山眞男の息遣いが伝わってくるような本である。特に以下の丸山の発言は強く筆者の印象に残る。

 「音楽という芸術のなかに『意志の力』を持ち込んだのはベートーヴェンです。『理想』と言ってもいい。人間全体、つまり人類の目標、理想を頭に描いて、〈響き〉=〈音響感覚〉でそれを追求し、表現する。凄まじい情熱ですね。これを『ロマンティック』と言わずして、他に何がありますか。『ロマン』は単なる情熱やセンチメンタリズムではない。人間の理想の追求が『ロマン』なのですから……。

『丸山真男 音楽の対話』(p.75)

 「音楽のなかに『意志の力』を持ち込んだベートーヴェン」という丸山の発言を目にした読者は、今までとは違った角度からベートーヴェンを聴くようになるのではないだろうか。まさに、「人間全体、つまり人類の目標、理想」という丸山の発言にあるように、ベートーヴェンは18世紀という時代精神の申し子であり、紛う方なきフリーメーソンであった。

 なお、今までに丸山眞男の一連の著書に目を通したことのある読者は既にお気づきの通り、丸山の著書群には執拗低音(バッソ・オスティナート)という音楽用語がたびたび登場する。この執拗低音は、丸山思想を真に理解するためのキーワードとされており、執拗低音とは何かということについて教えてくれるのが本書だと思う。したがって、本書は丸山の音楽に対する熱い思い、丸山の息遣い、人となりが伝わってくる本というだけではなく、真摯に丸山眞男の思想を追求したいという人にとっては欠かせぬ本なのである。その意味で、本書は生まれながらにして名著の地位を約束されたといっても過言ではない

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