パキスタンに小学校を造る
私は「週刊メールジャーナル」というメルマガを定期購読していますが、本日発行の号は教育に深く関わる話であり、大変心を打つ内容でした。よって、著者の川崎明氏に連絡を取り、転載の許可を得ましたので以下に転載致します。この機会に、皆さんも「週刊メールジャーナル」を定期購読してみては如何でしょうか。発行元はまぐまぐです。
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2005/7/20 No.293 週刊メールジャーナル 読者数10877人(前回)
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●フンザの学校=ハセガワ・メモリアル・パブリック・スクール=
に御支援を!!
フンザ学校設立基金代表 長谷川 昌美
1991年10月10日、夫・長谷川恒夫は、パキスタン北部の未踏峰(当時)
ウルタル峰(7388m)を登山中、雪崩に遭遇し、隊員・星野清隆とともに
死去いたしました。
ウルタル峰のベースキャンプ(3300m)は、フンザ・カリマバード村の共
有地であり、村人の御好意で、夫と星野隊員の墓を作らせて貰うことができ、
ふたりは、ピークを見上げる姿で、安らかな眠りにつきました。
私は、翌年からこの墓に詣でるかたわら、地元の人々と話し合い、村の将来を
考慮した建設的な事業を展開していくための組織、カリマバード福祉協会(N
PO)を発足させました。
そしてその最初のプロジェクトとして『ハセガワ・メモリアル・パブリック・
スクール』建設が決まったのが、1993年のことでした。用地の買収も済み、
1995年4月の定礎式以降、学校建設工事がスタートしました。
その一方で、1996年秋、先生7名により、仮校舎(民家)を使って6クラ
ス、80名の生徒たちの授業が始まりました。また、1997年10月23日
には、1階工事が終了したため、生徒たちを新校舎へシフトさせました。
その2年後、2階部分の工事も終了し、1999年4月16日、学校の竣工式
を執り行うことができました。
現在(2005年4月)は、男女550名の子どもたちが35名の先生たちに
より、以下のクラスに別れて、英語で授業を受けています。
ナーセリー (日本の幼稚園クラス)
プレップ ( 同上 )
グレード1~6(日本の小学生クラス)
グレード7~10(同 中学生クラス)
パキスタンはイスラム共和国であるため、公立学校では、男女別学、パキスタ
ンの公用語ウルドゥー語を中心とする教育が通常行なわれています。
山間部では教育施設の数に限界があるため、就学率、識字率も低いのですが、
フンザではイスラム教イスマイリ派を信仰する人々が圧倒的に多く、この宗派
は教育、医療、農業、文化財保護などを積極的に応援するため、パキスタン国
内においてもフンザは極めて進歩的な地域となっています。
そんな村の人々の、地域の将来は子供たちの教育にかかっているというという
切実な願いが、この学校設立という形に結実いたしました。
この私立の学校は、男女共学、英語での授業、コンピュータ導入、という山間
僻地としては極めて稀な恵まれた教育環境にあります。
現在は、生徒数の増加により、建物が手狭になってきたことも事実です。隣接
する土地を購入するための資金、成績優秀な恵まれない生徒のための奨学金、
先生たちの指導力向上のためのトレーニング費用など、まだまだ資金的な協力
が必要なことは申しあげるまでもありません。
学校設立に際しては、多くの日本の人々からの御援助を頂きましたが、引き続
き、この学校にご理解をいただき、御協力を賜りますよう、宜しくお願い申し
上げます。
郵便振替口座 00140-1-23664
名 義 フンザ学校設立基金
フンザ学校設立基金 〒151-0061 東京都渋谷区初台2-26-1-401
(有)アルパインガイド長谷川事務所内
TEL 03-3370-8522 FAX 03-3320-0398
e-mail: masami-h@za2.so-net.ne.jp
【あとがき】
故長谷川恒夫氏はきわめて優れた職業登山家であったが、ヒマラヤに挑んだ多
くの登山家がそうであったように、稀ではあるが命と引き換えのヘビーリスク
から、あるとき、逃れることはできなかった。
しかし、山を愛し、自然環境の保護にも熱心であった彼のために、ベースキャ
ンプの建設やガイドに、フンザの村人は積極的に協力し、そして事故のあと、
捜索や墓所の建設にも、快く協力してくれたようである。
長谷川未亡人が、こうした村人の好意に応えるため、学校建設に思い至ったこ
とは、自然な成り行きではなかったか。
パキスタンは、西隣りのアフガニスタンと長い国境で接し、その山岳地帯には、
いまもアルカイーダの根拠地があるとされる。
東の隣国インドとは、カシミールの領有を巡っての、長年の紛争がよく知られ
るところだ。また、そのことが、両国が核を保有するにいたった直接的な動機
になったともいわれている。
先日のロンドンにおける自爆テロの犯人らはパキスタン系英国人であり、犯行
前にパキスタンを訪れ、イスラム過激派組織「ジャイシェ・ムハマド」の構成
員らと接触したという情報もある。
この国のムシャラフ政権が、軍事政権であり続ける理由や、国内のイスラム過
激派の取り締りが腰砕けにならざるをえない理由には、かつてこの国が、英領
時代に移民供給国であったことや、東西冷戦の狭間で振り回された背景がある
とされ、現在の、困難な政治環境が推測される。
また、パキスタン北部に位置するフンザ地区は、ときに桃源郷とも呼ばれるほ
どの美しい風景をもち、観光客を惹きつけているが、生活文化は、限りなくア
フガニスタンに同化しうる地理的環境にもある。
このような環境での、ハセガワ・メモリアル・パブリック・スクールの存在は、
地政学的にも、イスラム過激派の供給条件を、内部から緩和する与件として、
高く評価されるべきではないだろうか。
イスラマバードの日本大使館も、大使の裁量で可能な範囲かもしれないが、毎
年ささやかな経済的支援を続けているのも、当然の帰結であろう。
編集子は、毎月第3水曜日に開催される集まりを通じて、長谷川夫人とご一緒
しているのだが、これまでの学校建設・運営のご苦労をよく承知している。
本誌のコンセプトとは筋違いかもしれないが、読者の皆さんに、一度はご紹介
したいと思っていたが、ロンドンでのテロ事件を契機に、民間外交の一端をご
紹介させていただくことにした。
国際平和への協力の仕方はいろいろある。編集子は、長年ユニセフを通じてさ
さやかな寄付を続けてきたが、今年からは、このハセガワ・メモリアル・パブ
リック・スクールに、切り替えようかと思っている。
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週刊メールジャーナル 2005年7月20日 第293号(水曜日発行)
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編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
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写真提供:むうじん館 http://www.fsinet.or.jp/~munesan/
駅から車で1時間の所にあるダム湖…、熊に注意!
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