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2005年7月29日 (金)

『反「暴君」の思想史』

b050729いつの日か書評を書いてみたいと思っている本の1冊に、将基面貴巳氏の『反「暴君」の思想史』(平凡社新書)があります。この本は、某識者をして戦後の日本の十大名著の1冊に加えたいと言わしめたほどの良書です。かなり前のことですが、私の知人の1人が同書について感想を述べたことがあり、アマゾン・ドットコムにも投稿されていますので、以下に転載しておきましょう。
将基面貴巳著『反「暴君」の思想史」について

  生まれながらにして古典となる運命を持つと予感させる稀代の良書

 本書は、将来日本で「共通善」思想受容史の研究書が書かれるとしたら、特筆大書されるだけでなく、亡国の淵にあえぐ多くの日本人の目を覚まさせ、思想的基盤を再構築し回天への行動を取らせる契機となるだけの強いインパクトを持った歴史的名著である。

 著者将基面さんは、学者・歴史家の使命への深い洞察と祖国へのコミットメントに基づいて、専門の中世末期のヨーロッパの政治思想の学識を最大限に生かしつつ、その専門性の枠に捉われることなく、幅広い学識と時空を超えた俯瞰的な足場の上に立って、比較政治思想史のアプローチを使って、古今東西の思想を鏡として、日本人の政治的思惟の特性を明らかにし、日本人が陥りやすい思想的短絡の不毛性をも懇切に指摘しつつ、暴政の打破、亡国の救済の鍵となるべき思想が何かということを明確に読者の肝に銘じてくれる。

 また、本書は国際的な碩学の手になるものだけあって、意味論を踏まえた用語定義や概念規定がたいへんにすぐれており、政治を学び考えようとする者の思考整理に大いに役立つものである。そして本書は、後学の者が比較政治思想史的アプローチによって政治思想の有無の検証や内容の差異を明らかにする際のたいへんすばらしい手本となる良著でもある。

 さらに、著者の学者の使命に関した倫理意識と義務感が卓越して素晴らしいことも特筆されるべきであるといえる。私は、本書を読み返すたびに、著者の若い血潮が、真の憂国の情と、学者の立場で故国に対して果たすべきことを成すべき時に、きっちりとやり遂げて置きたいという厳しい使命感で脈打っていることをひしひしと感じる。

 著者は本書の出版によって、日本を祖国に持つ国際的な政治思想史学者として、また世界的レベルで生きる現代の知識人として、ノブリスオブリジュを充分に果たしており、じつに感服すべき業績を残した。本書はまさに、著者の高度なボンサンスが存分に体現された名著である。

 本書を手に取るものは、暴政に対して立ち上がる勇気を強力に支える思想的基盤を培うことができるだけでなく、比較政治思想史アプローチのエッセンスをおおいに学ぶことができよう。そのうえ、生まれながらにして古典となる運命を持つと予感させる稀代の良書に廻り会う喜びを体験できたら、それは「素晴らしいの一言に尽きる」というものであろう。

 丸山眞男の「忠誠と反逆」と読み合わせるとさらに学習効果がでよう。

これだけ素晴らしい書評を書かれると、これから同書の書評を書こうと思っている者にとって大変やりずらい面がありますね。事実、上記の書評が書かれたのが2002年10月であり、いまからおよそ3年前ですが、アマゾンドットコムでは友人の投稿以降は、他の誰からも同書に対する書評の投稿がありません。これだけの書評を書ける知人を誇りに思った次第です。

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