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2005年7月 5日 (火)

『翻訳に役立つ Google活用テクニック』

b050705 『翻訳に役立つ Google活用テクニック』(安藤進著 丸善株式会社)は、検索エンジングーグル(Google)の使い方について書かれたハウツー本であり、一応は翻訳者に的を絞ってはいるが、特に翻訳者ではなくても毎日英語の情報に接するビジネスマンにも役に立つ本です。姉妹書として、同じ著者の筆による『Googleに聞け! 英語の疑問を瞬時に解決』(丸善株式会社)も出ているが、『翻訳に役立つ Google活用テクニック』に目を通した人には少々物足りないかもしれません。しかし、インターネットに接するようになって日も浅いという人たちにとって、『Googleに聞け!』は格好の「グーグル入門書」であると思います。

ところで、過日も述べたように、私はイカロスという会社の「日英特許翻訳 入門コース」という通信教育の受講を開始したばかりですが、「日英特許翻訳 入門コース」のテキストに何となく違和感を抱いていました。テキストの何処に違和感を感じるのかと思っていたら、最近同テキストで英文百科事典についての記述を読み、どうして違和感を感じていたのかという理由が分かったのです。単刀直入に言えば、テキストに書かれている情報が古いということに尽きます。

ライナ: liner です。上記の段ボール同様、関連の英文資料を探すことで訳語を見つけることができます。あるいは、英語版のVisual Dictionaryなどから段ボールの構造に関するページを参照してもよいでしょう。百科事典の代表格であるBritannica Encyclopediaでは、papermaking(製紙)の項目を読むと liner が出てきます。英文の百科事典は参考資料としては見逃せない存在で、和英辞典や日本で造られた専門辞書などからは探しにくい用語を調べたいときには重宝します。
『日英特許翻訳 入門コース Second』p.36

イカロスの「日英特許翻訳 入門コース」に掲載されている、最新の公開公報番号が平成11年(1999年)であり、グーグルが日本で広く知られるようになったのは2000年9月以降であるという2点から考えるに、同社のテキストは1999年後半~2001年前半の間に作成されたものであるものと思ってほぼ間違いないでしょう。もし、2001年後半以降に作成したテキストであれば、特許翻訳者に限らず、大勢の翻訳者から高い評価を受けているグーグルについて詳しく記述してあっても可笑しくないはずなのに、何処にもグーグルの威力についての記述が見当たらないのです。もしかしたら、単に私が見落としているだけなのかもしれませんが、少なくとも全部で6冊あるテキストの内、最初の2冊に関しては詳細なグーグルの威力に関する記述は無いようです。

また、今回取り上げた『翻訳に役立つ Google活用テクニック』自体にしても、発行が2003年10月15日と2年前であり、それ以降グーグルに加わった新機能については、当然のことながら取り上げていません。例えば、「ディスクトップ」というグーグルの新機能などです。ちなみに、「ディスクトップ」とは、自分のパソコンのハードディスクに格納してあるファイルを一瞬のうちに検索してくれる優れモノであり、秀丸(テキストエディタ・ソフト)のgrep機能に似ています。「ディスクトップ」の詳細については、直接グーグルのホームページで確認してもらうとして、インターネットの世界は日進月歩の勢いで進化していることを改めて実感したものです。
http://www.google.co.jp/

ところで、拙宅には大分前に購入した書籍版のブリタニカ百科事典(英語)がありますが、記憶では確か30万円前後したと思います。しかし、現在では翻訳作業時に紐解くことは全くなくなりました。1枚のDVDに収められているというブリタニカ百科事典(英語)も発売されていますので、それを入手してパソコンにインストールしてもいいのですが、現在のところグーグルで十分間に合っているので購入する気持ちが起きません。
http://www.britannica.co.jp/hometop/nenkan-e/

ご参考までに、『翻訳に役立つ Google活用テクニック』についてアマゾン・ドットコムに載っていた書評で、印象的な書評を幾つか取り上げておきます。

狭量な私はこの本をライバルに見せたくないと思ってしまったほどだ。

この本によって翻訳者の調査活動の意義が変わり、その範囲が飛躍的に拡張したと思います。

『翻訳に役立つ Google活用テクニック』には思い出があります。現在はJTF(日本翻訳連盟)の専務理事を務める高崎栄一郎氏が、STC(Society for Technical Communication)の翻訳学習会の座長を1年ほど前まで務めていました。私も1年半前に同翻訳研究会に出席し、数年ぶりに高崎氏にお会いしています。2回ほどSTC翻訳学習会に参加しましたが、最初に参加した時の講師は技術翻訳者の山本治男氏、その次に参加した時の講師が佐藤康夫氏であり、テーマはそれぞれ富士通のアトラスを駆使した英文和訳(山本氏)および和文英訳(佐藤氏)についてでした。その後の会合が安藤進氏を招待してのグーグルについての講演会だということを知り、高崎氏に次回も参加したい旨伝えたのですが、生憎仕事の〆切に間に合わなくなる恐れが出たために、学習会の数日前になって参加を諦め、代わり出版されたばかりの安藤氏の『翻訳に役立つ Google活用テクニック』を購入したという思い出があります。その安藤氏ですが、過日久しぶりにJTFのホームページを訪問したところ、JTF主宰の安藤氏の講演会が、「効率改善:ネット検索で翻訳の品質向上を目指そう」というテーマで行われるということを知りました。グーグル検索術に関心を持っている方は、この機会に参加されると良いでしょう。

公演:「効率改善:ネット検索で翻訳の品質向上を目指そう 」安藤 進(技術翻訳者・青山学院大学・多摩美術大学講師)
日時:7月12日(火) 14:00~16:40
場所:翻訳会館
概要:『翻訳に役立つGoogle活用テクニック』『Googleに聞け!英語の疑問を瞬時に解決』(丸善)など、翻訳のためのネット検索では第一人者として有名な安藤進氏が20年以上にわたる豊富な翻訳体験を語る。実際に検索エンジンを使用しながら、インターネットそのものを表現辞典として活用するための最新テクニックを紹介する。参加者からの質問に応えながら進めていく予定である。

その他詳細は以下を参照願います。
http://www.jtf.jp/04Z.html

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