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2005年6月21日 (火)

翻訳の限界

「国際ビジネス談話室・成功例と失敗例」というメールマガジンが、まぐまぐから発行されています(不定期)。
http://blog.mag2.com/m/log/0000072359

このメールマガジンの発行元は、契約英語の翻訳に携わる翻訳者であれば一度は耳にしたことがあるであろう、IBDという国際ビジネスコンサルティング会社です。
http://www.ibd-net.co.jp/

そして、メールマガジン「国際ビジネス談話室・成功例と失敗例」の筆者は、IBDコンサルタント<何でも博士>と称する、現役の国際契約関連のコンサルタントI氏であり、私はI氏とは毎週のようにお会いしていた一時期があり、今でも年に数回はお会いしています。そのI氏が、最新のメールマガジン「国際ビジネス談話室・成功例と失敗例」を昨日発行していましたが、文末にI氏の近状が「お詫び」の形で書かれていました。

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*著者からのお詫び*
今回分の掲載が大変遅くなりましたことをお詫び申し上げ
ます。また、当初の計画に反し、長々と29回目までにも
なってしまいましたことも併せてお詫び致します。本話は、
あと6回続けさせて頂きます(本年12月まで)ので、も
う暫くのお付き合いをお願い申し上げます。

著者は、現在も多くの重大なコンサルティング案件を抱え
て、四苦八苦しております。現実の案件は、本件で述べて
いるが如く複雑でありまして、成功も失敗も極めて微妙な
要素から来るものです。これらの要素をご説明するために
は、また、読者諸兄に拙書事例を役立たせて頂くためには、
どうしてもポイントを詳述せざるを得ません。この点をご
理解頂きまして、引続きご愛読の程、宜しくお願い申し上
げます。(著者拝)
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I氏とは2週間ほど前にメールのやり取りを行ったばかりですが、相変わらずお忙しいのだなと痛感しつつ、メールマガジン「国際ビジネス談話室・成功例と失敗例」に目を通したのでした。そのI氏とは来週早々に久しぶりにお会いし、情報交換を行ってくる予定ですので、その時に契約英語あるいは翻訳にまつわる情報があれば、来週皆様に御報告したいと思います。それは兎も角、I氏のメールマガジン「国際ビジネス談話室・成功例と失敗例」は、国際ビジネスの第一線で活躍されているビジネスマンが読めば、その人にとって物凄い知的財産になるはずであり、それを実際のビジネスの場で応用すれば、国際交渉の成功率が大幅に高まることは間違いないと思いますので、第一線で活躍する国際ビジネスマンに定期購読を強く推薦したいと思います。また、国際契約の翻訳をすることが多い翻訳者にも、実際の国際契約を巡る交渉の場の雰囲気を一部味わっていただく意味で、一度I氏のメールマガジンを覗いてみるとよいかもしれません。

さて、ここでコンサルタントと翻訳者の違いを述べてみたいと思います。数年前、I氏を囲み、翻訳者が中心になってフランチャイズの勉強会を行ったことがあります。参加していた翻訳者の中には、元貿易マンであったJTF(日本翻訳連盟)の理事もいました。そのような立派な方々に混じって、私のような当時は駆け出しの翻訳者が参加して良いのだろうかと思いつつも、末席を汚したような形で半年近く参加させていただきましたが、今では良い思い出です。そのフランチャイズ勉強会は、単なる勉強会に終わらせることなく、ゆくゆくは実際にフランチャイズにビジネスとして挑戦してみようという計画を立てていました。しかし、残念ながら結局フランチャイズ事業は立ち上がるには至りませんでした。失敗の主な原因は、I氏を除き、残り全員が基本的には国際契約およびビジネスのズブの素人だったからです。その後、I氏と時折個人的にお会いした折りに当時の事が話題に出たことがありますが、その時のI氏の以下の話が印象的です。

「IBDでは契約の翻訳に関しては優れた翻訳者を抱えている。そして、普段は翻訳者が翻訳した契約書を顧客に送るだけで間に合うことが多い。しかし、微妙なケースによっては、いくら一流の翻訳者が訳した契約書であっても、そのまま顧客に提出したり、国際ビジネス交渉の場に持っていくわけにはいかず、翻訳者が訳した契約書を徹底的に私が直さなければならないこともあった」とI氏が語ってくれたことがありました。このあたりのコンサルタントと翻訳者の違いは、書き出すと長くなりますので別の機会に譲るとして、I氏がそうした指摘が出来るのも、国際契約に纏わる体系的知識・語学力に優れ、実際の国際契約の交渉の場数を数多く踏んできたI氏だからこそ言えるのであり、I氏レベルの国際ビジネスコンサルタントは、日本でも5人といないのではないかと思います。

そのI氏の実力を如実に物語るエピソードを、ここで一つ紹介しましょう。日本には契約英語を教えている翻訳学校が多いと思いますが、I氏の目から見ると、及第点を与えられる契約英語の講師は殆どいないのだそうです。I氏と懇談していた時、翻訳者であれば誰もが知っている、契約英語の講座を一部に持っている翻訳学校のことが話題になり、私が当該翻訳学校で契約英語を教えているという、日本を代表する商社出身の講師の名前を出した途端、I氏は「サムライ君、彼の国際契約に関する知識にはいい加減なところがある。そのつもりで付き合った方が良い」とアドバイスしてくれたことがあります。

私は本物の国際ビジネス・コンサルタントであるI氏と知己なのですから、契約英語を専門にすれば非常に贅沢なアドバイザーを持つことになりますが、残念ながら私の専門は技術系の産業翻訳(機械・自動車、電気・電子、土木・建築)が中心です。ともあれ、翻訳というテーマだけに絞っても、I氏との語り合いの中から色々と書けそうですので、今後も翻訳をテーマに、I氏との対話の内容を支障のない範囲で書いてみたいと思います。

ところで、そうした産業翻訳で6年間体験を積んできたものを生かす道はないかと探っていたところ、特許翻訳というものに最近ぶち当たりました。そして、現在は本業の傍ら通信教育で特許翻訳を勉強中です。特許契約の勉強を始めたのも、当初の情報収集の段階では特許翻訳は高収入であり、将来的な需要も高いという情報だけが集まったからです。しかし、その後の情報収集の中で、私の大先輩であり、現役のベテラン弁理士であるS氏からの情報が手に入りました。そのS氏の場合、特許翻訳の将来性について悲観的な見解を示しています。何故か? 特許翻訳者を目指す方々にも関心のあるテーマだと思いますので、S氏の情報については次回述べたいと思います。

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