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2005年6月24日 (金)

産業翻訳者とCT

書籍などの出版翻訳、企業文書・マニュアルなどの産業翻訳、映画の字幕などの映像翻訳など、翻訳という仕事には色々ありますが、ここでは、繰り返しの単語・語句・文章が多い、マニュアルあるいはマニュアルに類した原稿を主に翻訳する、産業翻訳という仕事に限定して一言述べてみます。産業翻訳者のイメージを一言で述べるとすれば、家の外で鶴嘴(つるはし)をふるって、肉体を扱き使う仕事に従事しているのが日雇い人夫とすれば、家の中で鶴嘴(つるはし)ならぬパソコンのキーボードを打ちまくって、肉体ならぬ頭脳を扱き使う仕事に従事しているのが、産業翻訳者という日雇い人夫だ、と書くと他の産業翻訳者から顰蹙(ひんしゅく)を買うでしょうか。

大昔は人海戦術によって土木工事を進めていたのが常でした。しかし、現在ではクレーンなどを現場に投入することで、アッという間に作業が完了します。実は翻訳の世界、殊に産業翻訳の世界でもかなり前から似たような現象が起こっているのです。それは、翻訳作業の効率を高めてくれる翻訳支援ツールなどの出現です。私の場合、6年前から、Trados(トラドス)、Transit(トランジット)Atlas(アトラス)、SuperHT3(スーパーエイチティースリー)などを体験してきました。(貝島良太さんの開発したSuperHT3は、厳密な意味での翻訳支援ツールではないかもしれません。その貝島さんとは過去に二度お会いしており、SuperHT3は優れた翻訳用のツールであるという印象が残っています)富士通のアトラスに至っては、実際に入手してパソコンにインストールしてあります(尤も、アトラスの場合は富士通から無料で提供されたものであり、また、翻訳作業用にではなく別に使用目的があったのですが、ここでは割愛します)。しかし、気が付いてみれば翻訳支援ツール無しで翻訳の仕事を開始して6年が過ぎていたということになります。それというのも、私の場合はアメリカの経済誌の記事、映画の台本、企業のホームページなど、翻訳支援ツールが使えない翻訳を中心に翻訳の仕事を請け負ってきたからでした。しかし、ここ1~2年というものの、翻訳支援ツールを使えそうな仕事が徐々にですが増えてきました。そこで、自分に合った翻訳支援ツールは無いものかと探していたのです。土木作業のように、翻訳という作業にも“クレーン”を投入すれば、翻訳作業が今までの何倍も早く進むはずだと私は考えたのです。換言すれば、パソコンの機能を上手く生かして翻訳作業の能率をアップするという、何か良い術がないかと今まで探してきたのでした。

そして、ついに行き当たったのがCT(Cooperative Translation)という翻訳ツールでした。CTについての詳細は以下のURLをクリックし、氏名・電子メールを入力して送信ボタンを押せば、「無料テキスト」を送信してくれますので、そちらを参照願います。産業翻訳の仕事のスピードだけではなく、品質も同時に向上させたいと考える産業翻訳者には、必ず参考になるはずです。
http://www.monjunet.ne.jp/CT/hop/

結局考えた末、CTを入手する決心をし、昨日オンラインで購入を申し込んでいます。産業翻訳の主流と言われているTrados、個性豊かな国産派のAtlas、ユニークな設計思想で造られた貝島さんのSuperHT3などは選択しませんでした。何故なら、自分の体験から、産業分野、殊にIT以外でも幅広い裾野を持つ産業分野のマニュアルあるいはマニュアルに類似した原稿の翻訳作業を行う場合、CTをマスターすることにより、翻訳のスピードと品質が共にアップするという確信を得たからです。尤も、CTは厳密な意味での翻訳支援ツールではないかもしれません。Tradosが主にITという名の大地を一気に均す大型ブルドーザーだとすれば、CTは山椒は小粒でもぴりりと辛いミニショベルなのです。

今後、CTをマスターし、実際に産業翻訳の仕事に活用していく道程を、折に触れて訪問者の皆様に報告していきたいと思います。また、正規に料金を支払ってユーザーになったのですから、実際に使ってみてのCTの良い点も悪い点も、遠慮なく皆様に報告していきますので、お楽しみに。

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